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ベテラン海外ドラマライター・幕田千宏の「すごドラ!」

“暴言王”トランプ氏もやっかいになること必至! 実在の政界フィクサーをモデルにした『スキャンダル』

 次期大統領が決定して1週間が過ぎても、いまだ騒がしいアメリカ。トランプ氏もクリントン氏も、選挙中に女性蔑視発言やら私用メール問題やらのスキャンダルが飛び出していたが、そんなトラブルの火消しを担うのが政界フィクサー。全米で根強い人気を誇る『スキャンダル』は、そのフィクサーを主人公にした政界内幕ドラマだ。

 このドラマのヒロイン、オリビア・ポープは、元ブッシュ大統領(パパの方)の補佐官で、本作の制作にも名を連ねているジュディ・スミスという実在の政界フィクサーがモデルになっている。父ブッシュ政権時代は危機管理を担当し、その手腕からブッシュ大統領の任期終了後は、民間の危機管理会社を設立。大物クライアントを数多く抱え、全米どころか世界中で報道されてしまうような大スキャンダルをバリバリ処理してきた彼女がモデルとなっているだけに、オリビアの会社にも次々と大スキャンダルが舞い込んでくる。そのスキャンダルもまた、実際に起こった出来事をモチーフにしているので、どこかで聞いたことがあるような事件もしばしば。しかしそれだけなら、単にリアルな政界ドラマで終わってしまうところ。このドラマの醍醐味は、リアルな出来事をベースにしながら、リアルを超えた想像のナナメ上を行くトンデモ展開にある。

 そもそもこのドラマのクリエイター、ションダ・ライムズは医療ドラマのはずの『グレイズ・アナトミー』で、患者より医師のほうが死んでるんじゃないかというくらい、たびたびディザスターをもたらしては延々とシリーズを続けているという、ジェットコースター・ドラマが超お得意の人物。この『スキャンダル』においては、扱うのがメディアをにぎわすような醜聞ばかりとあって、シーズンを重ねるほど現実以上にえげつない展開がエスカレートしていく始末。でも、それが非常にクセになる。まんまとションダの手中にハマっているのはわかっちゃいるが、どうにもやめられないのだ。

 そんなドラマの登場人物は、誰も彼もがクセ者ばかり。主人公のオリビアはホワイトハウスの元広報官で現在は超やり手の政界フィクサーだが、実は大統領と元不倫関係という間柄。その元不倫相手であるフィッツジェラルド(フィッツ)大統領は、オリビアに未練タラタラ。オリビアのほうも、なぜかいつも困った顔をしながらフィッツと離れてはまたヨリを戻し、そのたびにフィッツはデレデレになったり、冷たくあしらったり、挙げ句(超大がかりな)ストーキングをしたりと、実に始末が悪い。アメリカ大統領という立場も忘れ、一体どこまで色恋にのめり込むのか、フィッツのボンクラ色ボケっぷりがシーズンを重ねるほどに際立っていく。先の大統領選挙戦中、オバマ大統領は「トランプ氏に核のボタンは渡せない」といったスピーチをしていたが、フィッツの色ボケぶりはそんな危機感すら覚えるほど。ドラマはとことんえげつなく、ドラマ的に下世話な展開を繰り広げるが、それを見れば見るほど絶大な権力を持つことになる人は慎重に選ぼうと、図らずも意識することに。

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