日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 実在の政界フィクサーが大活躍!
ベテラン海外ドラマライター・幕田千宏の「すごドラ!」

“暴言王”トランプ氏もやっかいになること必至! 実在の政界フィクサーをモデルにした『スキャンダル』

そして、この2人がメロドラマを繰り広げるたびに、周囲の人間は多大な迷惑を被るわけだが、彼らを取り囲む人たちも2人に負けず劣らずの濃いキャラぞろい。フィッツの嫁であるメリーは、夫とオリビアの関係に散々振り回された結果、夫そっちのけで自身の野心にまい進するように。もともとは、優秀な弁護士だったが、そのキャリアをあきらめ、フィッツを大統領にするために尽くしてきただけに、夫に対しては恨みつらみの塊と化していく。オリビアの恩師でもあり、大統領首席補佐官のサイラスは、ドラマ随一の腹黒キング。とにかく、フィッツジェラルド政権を守るためならあらゆる手段を講じる彼の闇は、想像以上に深い。

 そして、オリビアの会社で働く面々(「スーツを着た剣闘士」を合言葉に、オリビアへの忠誠心で団結)も、元CIAのスパイだの、経歴に問題アリの弁護士だの、一見平凡そうに見えてとんでもない秘密を抱えていたりと、まっとうな人間はほとんど出てこない。オリビア自身もフィッツという弱点はあるものの、それ以外では確かにやり手。挙げ句、彼女の両親がまたかなりのトンデモ人物であり、ここにもスキャンダルの特大火種がくすぶっている。そんな腹黒すぎるキャラクターたちが、ホワイトハウスという伏魔殿で繰り広げるドラマの数々は、いつまでもダラダラと続くオリビアとフィッツの不倫話など、正直どうでもよくなるほど刺激的だ。

 と思っていたが、何年もしつこく続けてきたこの不倫話が、最新シーズンではいよいよ生きてきた。政治よりも私情を優先しすぎなボンクラ大統領であるフィッツを、政界随一のやり手フィクサーであるオリビアが本気でコントロールしたらどうなるのか、その未来を的確に予測する腹黒サイラスがそこにどんな横ヤリを入れるのか、どこまでトンデモ展開がエスカレートしていくのか楽しみだ。

 もっとも最初に書いたように、このドラマは現実に起こった政治事件やスキャンダルをモチーフにしている。選挙中から暴言王だったドナルド・トランプが大統領になった次シーズン、どんなエピソードが取り入れられるのかにも注目したい。

★このドラマにハマった人におすすめ!
『ハウス・オブ・カード』
『レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー』
『殺人を無罪にする方法』

●まくた・ちひろ
映画・海外ドラマライター。『日経エンタテインメント!海外ドラマSpecial』『ゲーム・オブ・スローンズ パーフェクト・ガイド』(日経BP社)、『海外ドラマTVガイド WATCH』(東京ニュース通信社)、『映画秘宝EXドラマ秘宝vol.2~マニアのための特濃ドラマガイド』(洋泉社)等に寄稿。Twitterアカウントは@charumin

最終更新:2016/11/19 16:00
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