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事件から半年……

相模原障害者殺人事件は前触れにすぎない? 植松容疑者の「思想」はなぜ、共感を呼んだのか

 神奈川県相模原市にある障害者福祉施設「神奈川県立 津久井やまゆり園」で、この施設の元職員・植松聖(当時26)の凶行によって19人の入所者が殺害された事件から、半年が経過した。戦後日本国内で発生した事件として、「津山三十人殺し」に次ぐ犠牲者の多さとその規模もさることながら、ネット上に寄せられたこの事件の犯人に対する共感は、ショッキングな出来事として記憶された。いったい、なぜこの事件は起きたのか? そして、この事件から何を考えなければならないのか? 社会学者で、『弱くある自由へ』『精神病院体制の終わり』(青土社)などの著作を持つ立岩真也と、『非モテの品格』(集英社新書)、『フリーターにとって「自由」とは何か』(人文書院)などで知られる批評家の杉田俊介による共著『相模原障害者殺傷事件――優生思想とヘイトクライム』(青土社)から、この事件を振り返る。

 植松容疑者は、事件決行5カ月前、2016年2月半ばに衆議院議長大島理森に宛て、「職員の少ない夜勤に決行致します」「見守り職員は結束バンドで身動き、外部との連絡を取れなくします」など、犯行予告と理解できる手紙を書いて、公邸を警戒中の警察官に手渡している。

 その一方で、日本軍の設立、5億円の支援を要求するなど、支離滅裂な内容がしたためられたこの手紙で、彼は「私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です」「障害者を殺すことは不幸を最大まで抑えることができます」と主張する。「全人類が心の隅に隠した想いを声に出し、実行する決意を持って行動しました」「私が人類の為にできることを真剣に考えた答えでございます」と、社会のために障害者を殺害することを強調。事件後にも、捜査関係者に対しては「殺害した自分は救世主だ」「(犯行は)日本のため」と供述している。

 いったい、どうしてこんな支離滅裂で身勝手な主張に、シンパシーが寄せられるのだろうか? 

 今回の事件を受けて語られるようになった言葉のひとつに「優生思想」がある。優れた子孫の出生を促し、劣った子孫の出生を防止することで、民族の質を高めると考えるこの思想。ナチス・ドイツ政権下での精神病者・障害者に対する断種などが有名だが、実は日本でも1996年まで「優生保護法」があったように、その思想はつい最近までわれわれの身近に存在していた(現在は「母体保護法」に改称されている)。植松容疑者の「人類のために」障害者を殺害するという発想も、この優生思想に影響されたものである。そんな彼の思考や、事件がもたらした余波を受けて杉田が感じたのは、次のような「ヘイト」とのつながりだった。


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