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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.420

恋愛において“ナカメ作戦”は果たして有効か? 星野源主演の劇場アニメ『夜は短し歩けよ乙女』

恋愛においてナカメ作戦は果たして有効か? 星野源主演の劇場アニメ『夜は短し歩けよ乙女』の画像2先輩役は星野源。多忙だった星野だが、湯浅監督の『マインド・ゲーム』の大ファンだったことから出演を快諾。

 オモチロイことが大好きな乙女は博愛主義者であり、かつ自分のかわいさには無自覚で、グラスに注がれた酒はきれいに飲み干すという気っ風の良さを併せ持つフィクションの世界ならではの聖女的な存在なのだが、多くの男性はこーゆー女の子を見つけると夢中になってしまうもの。偶然を装うために汗みどろになって先回りしようとする先輩の姿は、誰しも心当たりがあるはず。ようやく出逢っても「やぁ、たまたま通り掛かったものだから」とひと言交わしただけで別れてしまう。延々と外堀を埋め続ける日々。大坂夏の陣はいつまで経っても始まらない。湯浅監督いわく「踏み出さなくちゃいけないのに、なかなか踏み出せない迷いは僕にもよく分かる(笑)。先輩の場合はひどくこじらせてしまっているけど、それが面白く、みんな共感する部分でしょう」とのこと。そんなこじらせた先輩役に、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で大ブレイクした星野源を起用。『逃げ恥』の放送前に行なわれたキャスティング会議で先輩=星野源案が異様に盛り上がり、湯浅監督が星野宛てに手紙を送ることで理想のキャスティングを実現させた。

 湯浅監督にとって『夜は短し歩けよ乙女』は劇場デビュー作『マインド・ゲーム』(04)以来となる劇場公開作品。『君の名は。』(16)の新海誠監督や『サマーウォーズ』(09)の細田守監督ほどの大ヒット作は放っていないものの、アニメ好きな間では天才アニメーターとして絶賛されている。『マインド・ゲーム』での性交渉時の絶頂シーン、脚本&絵コンテ&演出を担当した『ねこぢる草』(01)での臨死体験シーンなど、アニメーションでしか表現できない世界を描かせると他の追随を許さない異能ぶりを発揮する。『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』(92)の音楽パートの作画・演出を手掛けたことでも知られており、『夜は短し歩けよ乙女』でも学園祭シーンは原作では単に野外演劇だったのをミュージカルに仕立て、星野源に加え、歌手活動もしている花澤香菜、ミュージカル女優の新妻聖子、ロバートの秋山竜次らによる華々しいステージが繰り広げられる。音楽に合わせてキャラクターたちが歌い踊るこのシーンは、序盤の“詭弁踊り”と同様に観る者に心地よい陶酔感をもたらせてくれる。2018年に配信予定の完全版デビルマン『DEVILMAN crybaby』も話題の湯浅監督だが、5月19日(金)には劇場用オリジナルアニメ『夜明け告げるルーのうた』も公開待機中で、こちらはミュージカルパートがよりふんだんに盛り込まれ、湯浅監督の天才アニメーターぶりを存分に味わうことができる。

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