「きっと、きよちゃんは幸せになれる」アイドルヲタクが見た『ザ・ノンフィクション その後の中年純情物語』
ある日、りあちゃんはチケットノルマのあるミュージカルへの出演が決まる。ここでチケットノルマについての是非に触れるつもりはない。
ただ、愛情というのは、相手に何かしてあげたくて仕方なくなるものなのだ。彼女のためにチケットを買い、グッズを作るのも、きよちゃんにとっては楽しくて仕方がないはずだ。それこそが彼のモチベーションだと思う。
放送後、ネット上には様々な意見が書き込まれた。
きよちゃんの純粋な気持ちに共感するものもあれば、報われることのない思いを、無駄だとする意見もあった。
実際、私も人から言われることがある。
「アイドルなんていくら応援したって付き合えるわけじゃないんだから、虚しくない?」
そう聞いてくる人達はわからないのだろう。アイドルとファンという関係は、付き合うための前段階でもなければ、未来を見据えたものでもない。
それに、その人は知らないのだろうか。
アイドルではない、現実の女性だって、気持ちが伝わらないことなんてたくさんあるし、いつか必ず別れが来るということを。
「いつか別れが来ることはわかっている」
そんなきよちゃんの言葉が全てを物語っている。
わかっている、わかっているからこそ、その時間を尊いと思えるのだし、感謝の思いを持って、その時を過ごすことができるのだ。一体、そういう思いを持って過ごせる時間を持っている人が、この世界にどれだけいるだろう。
そして、アイドルファンの多くはDD(「誰でも大好き」の略)と呼ばれ、次から次へと新しい女の子に推しを移していく。そんな中できよちゃんは一途だ。どちらが偉いわけでもない、ただ、彼の一途さが少し羨ましくなることも確かだ。
前回の放送では、カタモミ女子からりあちゃんが卒業するところで終わっていた。しかし、今回は、お別れはなし。アイドルがファンの洋服をコーディネートしてくれるお店で働いているりあちゃんが、きよちゃんの服を見立てているところで終わる。
所詮は限りのある時間だし、限りのある生命だ。
そのうちの何年かを大好きな女の子とともに過ごす。
恋人とか結婚とか、どんな形態かなんて関係ない。
夢中になれることがあって、愛情を注げる人がいる。それだけのことがどれだけ尊いか。多分、きよちゃんはそれを知っている。それを知る人はきっと、少しの切なさを抱えながらも、きっと幸せになれる。そんなことを信じたいと思った。
(文=プレヤード)
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