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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.430

人身売買、二重婚、売春斡旋、すべては家族のため『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』

人身売買、二重婚、売春斡旋、すべては家族のため『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』の画像3韓国のソウルで実の息子と暮らすことになったマダム・ベー。多大な労力とお金を支払って手に入れた幸せだったが……。

 大冒険ツアーの結果、マダム・ベーはタイへの不法入国を果たし、目論みどおりにバンコクの難民支援センター経由で、韓国へ送られることに。韓国では国家情報院から北朝鮮のスパイでないかどうかの尋問を受けた後、念願叶ってソウルで息子たちと一緒に暮らすことになる。バンコクの難民支援センターで別れてから10カ月後、ジェホ監督はソウルでマダム・ベーと再会する。浄水器の清掃業をしている彼女は、ソウルにどこにでもいる生活に疲れきった主婦となっており、中国で闇ブローカーとして目をギラギラさせ、ラオスやタイの国境を命懸けで越えてきたマダム・ベーとは別人のようだった。息子たちと一緒に暮らすという夢を実現させ、電化製品に囲まれた豊かな生活を送るマダム・ベーだが、もはやあの猥雑さを感じさせる生命力の輝きはどこにもない。

 ギャスパー・ノエ監督の『アレックス』(02)は人生のドン底からいちばん美しかった時代へと時間を巻き戻してみせたが、マダム・ベーの場合は彼女の人生のピークは一体どこにあったのだろうか。彼女の人生は喜びと哀しみが複雑にマーブル状に入り交じっており、簡単には判別できない。物語の終盤、マダム・ベーはテレビ電話で、今も中国の農村で暮らす中国夫と会話を交わす。そのときの彼女は生活に疲れた退屈な主婦から、声を弾ませたひとりの女に戻っている。
(文=長野辰次)

人身売買、二重婚、売春斡旋、すべては家族のため『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』の画像4

『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』
監督/ユン・ジェホ 撮影/ユン・ジェホ、タワン・アルン 
配給/33BLOCKS 6月10日(土)より渋谷イメージフォーラムほか全国順次公開
(c)Zorba Production, Su:m
http://www.mrsb-movie.com

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