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 >  >   > 水原希子の「芸名問題」にみる日本の閉鎖性と人種差別
【wezzy】

水原希子の「芸名問題」にみる日本の閉鎖性と人種差別~ナタリー・ポートマンもブルーノ・マーズも芸名。その本名は?

 「水原希子は日本人じゃないのに、なぜ日本名を使う?」と一部でかまびすしいが、これは人種差別の言い換えである。水原希子を非難している者たちが言わんとしているのは「韓国人は韓国名を名乗れ!」である。

 本来、女優やモデルがどの国で活動しようが、どんな名前を使おうが、まったくもって本人の自由だ。しかし水原希子が日本名を使わなければならないのは、日本に人種差別があり、かつ人種差別主義者だけでなく、「私は人種差別主義者ではない」と思っている多くの人も、名前に表される国や民族に対してなんらかの偏ったイメージを抱いているがゆえだ。

「日本人」の定義とは?

 ネットであちこち検索した結果、水原希子のバックグラウンドはおおよそ以下のようである。

水原希子:在日韓国人の母親とアメリカ人の父親のもと、アメリカのテキサス州で1990年に誕生。本名はAudrie Kiko Daniel (オードリー・キコ・ダニエル)。米国籍。一家は水原が2歳の時に日本に移り、以後、水原は日本で育つ。兵庫県で育ったため、関西弁。英語はあまり得意ではないと思われる。韓国語を話すかは不明。

 こうしたバックグラウンドを持つ水原が日本で芸能活動をするにあたり、もっとも容易なのは日本名を使うことだろう。アメリカ人、または白人とのミックス(ハーフ)であることを全面に押し出すためにオードリー・ダニエル名義でデビューすることも可能だっただろう。そこは本人のアイデンティティと、ビジネス戦略次第だ。芸名は文字どおり「芸」の一部なのだから。

 水原が韓国籍や韓国名を持っているか否か、韓国系としての強いアイデンティティを持っているか否か、どちらも筆者に知る由はないが、日本の芸能界の状況をみる限り、 韓国名を使うのは大変な困難に思える。

 いずれにせよ日本は「生まれた国」「母親の人種・国籍」「父親の人種・国籍」「育った国」「国籍」「話す言葉」がすべて「日本」でなければ「世間」が日本人と認定しない、非常に稀な国である。

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ユダヤ系女優が「英語名」を名乗り、米国大統領夫人を演じる

 アメリカ人俳優もエスニック名を伏せて芸名を使うことがある。興味深いのは、アメリカにおいて外観からマイノリティであることが明らかな黒人やアジア系より、非WASPの白人のほうが芸名を使うケースが多いことだ。

 WASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)とはアメリカにおける白人のマジョリティ・グループを指し、ユダヤ系やイタリア系などは白人であってもWASPではない。だがWASP風の名に変えることによってWASPとして扱われ、WASPの役を得やすくなるのが芸名を付ける理由だ。

 ハリウッド女優のナタリー・ポートマンも芸名を使うひとりだ。

ナタリー・ポートマン
本名:Neta-Lee Hershlag(ネタ-リー・ハーシュラグ) 1981年エルサレム(*)生まれ。米国とイスラエルの二重国籍。母親はユダヤ系アメリカ人、父親はイスラエル人。両親はイスラエルで結婚し、ポートマンはエルサレムで誕生。3歳の時に一家でアメリカ・ニューヨーク郊外に移住。8年生までユダヤ学校に通い、ヘブライ語を話す。ユダヤ教徒。
*イスラエルとパレスチナ自治区の双方が首都と主張

 ポートマンはインタビューで自身のアイデンティティについて、以下のように語っている。

「アメリカをとても愛しています……が、心はエルサレムにあります。私が故郷と感じる場所です」

 ポートマンはユダヤ教徒であり、本名の Hershlag はユダヤ系に特有の姓だ。アメリカで女優となるにあたってユダヤ系の名前では成功しにくいと考え、芸名を使っているのだろう。

 アメリカのユダヤ系には社会的、経済的な成功者が多い一方、民族全体への偏見は今も残る。理由はキリスト教が中心のアメリカにおいて非クリスチャンであることに加え、第二次世界大戦中、ナチスによる凄惨なホロコースト(大量虐殺)を体験し、被害者としての「暗い」イメージを与えられてしまったことだ。ポートマンの父方の曾祖父母もアウシュヴィッツの収容所で殺されている。

 しかし人種としては白人であるため、英名を使うことによってユダヤ系のイメージを払拭できる。ただし、ほとんどの俳優は経歴自体を隠すことはせず、ポートマンもユダヤ系として上記の発言をおこなっている。

 そのポートマンは昨年、ケネディ大統領の妻ジャッキー・ケネディの伝記映画『ジャッキー』に主演した。アメリカ史上もっとも愛されたファーストレディのひとりであり、アメリカを象徴する女性を見事に演じ切ったポートマンは、アカデミー賞最優秀女優賞にノミネートされた。

スペイン名では「ラティーノと思われる」

 日本でも高視聴率を上げたドラマ『ザ・ホワイトハウス』(1999-2006)で合衆国大統領を演じたマーティン・シーンも、本名は Ramón Antonio Gerardo Estévez (ラモン・アントニオ・ジェラルド・エステベス)だ。父親がスペインからの移民であり、アメリカ生まれの息子にもスペイン語の名前をつけたのだ。

 スペイン系のマーティン・シーンは白人だが、アメリカでスペイン語の名を持つとラティーノ(中南米系)と思われることのほうが多い。これでは白人の役が取りにくく、マーティン・シーンという芸名となった。

 移民はアメリカで生まれた二世の子供にアメリカになじみやすいよう英名をつける者と、民族アイデンティティを維持させるために祖国の名をつける者に分かれる。マーティン・シーンの父親は息子にスペイン系のプライドを持たせるべくラモンと名付けたが、息子本人は職業上の理由により芸名を使っている。しかし、そのマーティン・シーンも4人いる自分の子供全員にスペイン語の名前を与えている。

 長男エミリオ・エステベスも父親の後をついで俳優となったが、本名のままだ。誰が聞いてもラティーノと思う名前であり、エスニック・アイデンティティと俳優としてのリスクを考え合わせた上での決断だったと思われる。三男カルロス・エステベスもやはり俳優となった。一時は多くの映画やドラマで主役を務め、のちにドラッグ問題を起こしたチャーリー・シーンだ。芸名に父と同じ「シーン」を使っている。俳優としてはエミリオ・エステベスよりチャーリー・シーンのほうが成功したと言えるが、成功の理由と芸名との因果関係は不明だ。

 イタリア系もステレオタイプ化されることが多く、かつ独特の名前が言いにくい、覚えにくいことから芸名をつける俳優やミュージシャンがいる。例えばレディ・ガガの本名は Stefani Joanne Angelina Germanotta(ステファニ・ジョアン・アンジェリーナ・ジャーマノッタ)だ。現在、ドラマ『マダム・セクレタリー』で米国国務長官を演じている女優ティア・レオーニの本名は Elizabeth Tea Pantaleoni(エリザベス・ティア・パンタレオーニ)である。どちらも中高生くらいの時期、クラスのいわゆるアホ男子から「マフィアみたいだ」などとからかわれていたかもしれない姓である。

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音楽性とエスニックの不一致

 ミュージシャンであれば、音楽ジャンルと姓のエスニック性が合致しない場合にも芸名が使われる。

 R&Bミュージシャンのアリシア・キーズの本名は Alicia Augello Cook(アリシア・オウジェロ・クック)だ。母親はイタリア系の白人、父親は黒人だが、黒人音楽家としてイタリア系の姓オウジェロでは売りにくいことがキーズという芸名の理由と思われる。

 ブルーノ・マーズの本名は Peter Gene Hernandez(ピーター・ジーン・ヘルナンデス)。母親はフィリピン系だが、父親がプエルトリコ系なのでヘルナンデスというヒスパニック名を持つ。この姓だとほぼ間違いなくラテン音楽と思われ、ラティーノ以外の音楽ファンにスルーされてしまう。ブルーノは人種や民族性を超えた音楽を演るだけに、それを危惧したのではないだろうか。

 上記はすべてアメリカにさまざまな人種や民族が同居し、(1)それぞれにステレオタイプなイメージがある (2)WASP以外は差別の対象になりうる (3)音楽ジャンルがエスニックごとに分かれている ことから芸名を用いている例だ。

 一方でエスニック名のまま活動している俳優やミュージシャンも多い。アニメ『アイス・エイジ』シリーズのシド(ナマケモノ)の吹き替えで知られるジョン・レグイザモもプエルトリコ系だ。コメディアン/俳優としてのデビュー時、英語話者が発音しづらい姓を変えるよう忠告を受けたが、あえて本名で貫いたと語っている。

セレブでなくとも、スタバネーム

 アメリカにおいて名前で苦労するのはセレブだけではない。

 アメリカに暮らすと、日本人も自分の名前を意識せざるを得ない。まず直面するのが、名前を正しく発音してもらえない、綴ってもらえない、覚えてもらえないことだ。アメリカは取引先ともファーストネームで呼び合う社会であり、名前を覚えてもらわないことには何も始まらない。そこで日本人も「タカシ」であれば「Ted」、「ノブコ」であれば「Nikki」など、イニシャルだけは合致するアメリカン・ネームを使う人がいる。

 普段の生活では英名が不要な人も、スターバックスでは「エイミー」や「マイケル」といった簡単な英名、いわゆるスタバネームを使う。カップに書くために名前を訊かれ、「Ka – o – ru」とゆっくり区切って伝えても何度も「はぁ?」と聞き直され、あげくにまったく違う名前を書かれてしまう。この体験はアメリカにおける日本人のマイノリティ度をつくづくと思い知らせてくれる。

 スターバックスはまだ笑って済ませられるが、そうはいかないのが就職だ。アメリカでは履歴書に写真を貼ることはしないが、名前で人種や民族を推測される。アフリカ系アメリカ人の姓は多くの場合、ごく一般的な英名だが、ファーストネームには「ラティーシャ」「デショーン」など特有なものが多い。

 UCLAのリサーチセンターが、求人広告を出している実際の企業に同一の学歴と職歴で、名前だけをいかにも白人風、いかにも黒人風に変えたものを送付する実験をおこなった。すると白人風の名前のほうが面接に呼ばれる率が高いという結果が出た。このことはリサーチをするまでもなく、当のアフリカ系アメリカ人の間では知られたことであり、求職者の中にはいかにも黒人風のファーストネームの代わりに、どの人種でもありえるミドルネームで応募する人もいる。ちなみにカナダでおこなわれた別の同内容のリサーチでは、アジア系の姓でも同じく面接に呼ばれる率が低いという結果が出ている。

どんな名前も名乗れる自由を

 結局、俳優も会社勤務も等しく「仕事」なのである。会社勤めの場合はまず履歴書審査を通って面接にこぎつけなければならない。俳優の場合は人気が出ないことにはどうしようもない。とくに顔を知られていない無名時代は名前で人種や民族を推測され、できる役も回ってこない可能性がある。さらに怖いのは人種差別主義者からの非難や中傷だ。

 アメリカも日本も人種とエスニックに対する偏見や差別があるからこそ、芸名を使わなければならない俳優やミュージシャンが存在する。ゆえに水原希子を「韓国人は韓国名を名乗れ!」と罵倒することは純然たる人種差別である。夢を売ることが仕事の俳優やミュージシャンは、夢を売るためのツールとしてどんな名前を使ってもよいはずだ。

 だからこそ、水原希子本人が日本名であれ、英名であれ、もしくは韓国名であれ、使いたい名前をなんの心配もなく使える社会であること。女優として魅力的なのであれば、どんな名前であっても人気が得られること。これが理想形の社会なのである。だが、日米ともにそこまでの道のりはまだまだ遠いのである。
(堂本かおる)

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