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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.454

家族に愛された記憶のない人へ捧ぐ至高の処方箋! カルト王の輝く青春『エンドレス・ポエトリー』

アレハンドロ・ホドロフスキー監督の自伝映画『エンドレス・ポエトリー』。青春期の記憶がマジックリアリズムの世界で眩しく蘇る。

 親から温かい言葉を掛けられたことがない。家族で一緒に過ごした楽しい思い出がまるでない。お盆にお墓参りすることも、お正月に帰省することも疎遠になってしまった──。そんな人におススメなのが、アレハンドロ・ホドロフスキー監督の最新作『エンドレス・ポエトリー』だ。本作は御年88歳になるホドロフスキー監督が、自身の青春時代を振り返った自伝的映画。実家を飛び出した主人公が運命の恋人や芸術家仲間たちと出逢い、両親の呪縛から解き放たれていく姿を色彩豊かに描いた映像詩となっている。道なき道を進もうとする若き日の自分を、ホドロフスキー監督が叱咤激励する形で物語は進んでいく。

 ストーリーに触れる前に、ホドロフスキー監督がどんなにグレートな人物であるかをご紹介。1929年、南米チリ生まれのホドロフスキー監督は、『エル・トポ』(70)や『ホーリー・マウンテン』(73)といった超シュールな作品で知られるカルト映画の王様。1975年にはSF大作『デューン』の製作に取り組み、絵コンテにフランスコミック界のビッグネームであるメビウス、デザインに新進画家だったH・R・ギーガーを起用。残念なことに『デューン』の企画はハリウッドの大手スタジオに反対されて頓挫したものの、このときの絵コンテやデザイン画は『スター・ウォーズ』(77)や『エイリアン』(79)などの人気SF映画に多大な影響を与えている。

 映画監督としては不遇の時代が続いたホドロフスキー監督だったが、お蔵入りした『デューン』の舞台裏を再現したドキュメンタリー映画『ホドロフスキーのDUNE』(13)の撮影で『デューン』のプロデューサーだった旧友ミシェル・セドゥーと感動の再会。彼の支援によって『リアリティのダンス』(13)を撮り、23年ぶりに映画界への復活を果たした。80歳を過ぎて枯れるどころか、頭の中に止めどなく溢れ出る鮮烈なイメージを自由自在に映像化してみせる映画仙人のごとき存在となっていたのだ。

 ホドロフスキー監督の故郷チリで撮影された『エンドレス・ポエトリー』は、監督の少年期と変わり者の両親にスポットライトを当てた『リアリティのダンス』に続く、ホドロフスキー人生劇場の第二幕。家族との葛藤も、命懸けの恋愛も、青春の蹉跌も、すべて南米の明るい陽射しの中で撮影されたマジックリアリズムの世界へと昇華され、安くて美味いチリワインのような豊潤な味わいを感じさせる。ちなみに撮影監督は日本でも人気のクリストファー・ドイルだ。

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