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平成J-POPプレイバック!

自由奔放なヴォーカルで一世を風靡! ”元祖ギター女子”川本真琴、インディーズで新境地

文=青木優

川本真琴』(ソニー・ミュージックダイレクト)

平成が終わろうとしている今、90年代に始まったJ-POPの流れがひとつの節目を迎えている。あのアーティストの楽曲はなぜ、ヒットしたのか? 音楽ライターの青木優が徹底分析! 

 先日、宇多田ヒカルの<歌姫ってなんなん>というツイートが話題になった。

 発端となったのは、おそらく11日にTBS系でOAされた番組『歌のゴールデンヒットー昭和・平成の歴代歌姫ベスト100ー』。彼女はたぶん、この番組内で、CDやレコードの売り上げで“歌姫のランキング”を決めたことに対して触れたのだと思う。

 僕もこの番組をなんとなく観ていた。当連載で過去に登場した安室奈美恵は4位、ZARDは3位にランクイン。

 で、今日取り上げる人はどうだったかというと……あら? ランク外? そうかー。大ヒットした曲もあるけど、そもそもリリースの数自体がそこまで多くなかったから、シングルの売り上げの集計をしても、そこまで数字が行かないのかなと。

 と解釈しながら、川本真琴について書きます。

 彼女のデビューは1996年のこと。デビューから、いきなり衝撃的だった。なにせ1stシングル「愛の才能」の作曲、アレンジ、プロデュースは岡村靖幸。その楽曲のファンキーさだけでもかなりの魅力がある上に、川本の歌声もルックスも、じつにキュート。結果、この「愛の才能」はスマッシュヒットを記録し、彼女はデビュー早々、音楽シーンの最前線へと躍り出たのである。

 川本は、その年の秋に2枚目のシングル「DNA」をリリース。さらに翌年の「1/2」、そのまた次の年の「桜」と、ヒットを連ねていった。この間には最初のアルバム『川本真琴』も出し、これはCDチャートの1位を奪取するほどのセールスを残している。

 川本の歌にはいくつかの特徴がある。歌声は、ちょっとロリータっぽくも、またアニメ声っぽくもあるハイトーン。その声や本人の風貌と絶妙なブレンドを見せるのは、青さや若さを感じさせる歌詞の世界だ。当時の彼女は20代前半だったが、<明日の一限までには 何度もkissしようよ>(「愛の才能」)といったように、歌詞の面では大人になる手前の少女の心情が鮮烈に反映されていた。しかも、その詞はまるで早口のように言葉が詰め込まれていて、これによって生まれる性急さが感情のスピードを加速させている感覚があった。

 また、アコースティック・ギターをかき鳴らすイメージもフレッシュだった。この頃はギター女子なんて言葉もなく、もちろんYUIが出てくるよりもぜんぜん、前の時代。「川本真琴=アコギ」のイメージは、初期の頃から彼女の個性として定着した。

 そしてメロディや曲全体に感じられる、自由で、のびのびとした感性。たとえば「1/2」や「桜」のような楽曲のイメージの広がりには、ほかのどんなアーティストでも表現することができない独自性がある。

 で、この頃からなんとなく感じていたのは、彼女はどこかナチュラルな……天然なところがある人ではないかということ。それは当時、ファンの方も感じていたのではないだろうか。

 というのは……1998年の春、渋谷公会堂でのライヴのこと。原稿を書くために川本のライヴを初めて観に行った僕は、そこで奇妙な光景に対面したのである。曲の合間のMCで彼女は「今日はずっと、最後に<パンチョ>って付けてしゃべろうかな」と笑いながら言ったのだ。そして以後、ステージ上で彼女は「次の曲はなんだっけパンチョ?」「今日はいい感じだねパンチョ」というふうに、語尾にパンチョを付けて話し続けた。その意図はよくわからない。きっと、なんとなくだったんだと思う。

 終演後、レーベルであるソニーの担当の方に通されて、川本本人と、ほんの一瞬だけあいさつができた。間近で接近した川本真琴は本当にかわいかった。そしてお互いにドリンクを手にしていたので、「今日のライヴはとても楽しかったです。パンチョ」と言うと、彼女も「パンチョ」と返してくれて、グラス(プラカップだけど)で乾杯した。

 この日の演奏は、とても良かった記憶がある。ただ、僕の中では、川本の渋公ライヴは「パンチョ」という言葉の思い出のほうが強く残っている。


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