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平成J-POPプレイバック!

メディア露出もライブ活動も一切なし! 「CD至上主義」を貫いたZARDが今でも愛されるワケ

文=青木優

ZARD Forever Best~25th Anniversary~』(ビーグラムレコーズ)

平成が終わろうとしている今、90年代に始まったJ-POPの流れがひとつの節目を迎えている。あのアーティストの楽曲はなぜ、ヒットしたのか? 音楽ライターの青木優が徹底分析! 

 倉木麻衣がZARDの坂井泉水と共演した。2月1日の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)での一幕である。曲は「負けないで」だった。

 その時に見た倉木には「大人になったなぁ」と思ったのだが、坂井のほうはひとつも変わっていなかった。それはそうだ。彼女は故人で、使われるのはいつだって若い頃の映像だからだ。そう、もちろんこのコラボは、2人の映像と音声を編集し、合成した上で実現したデュエットである。ただ、とにもかくにもビーイングに所属するシンガー同士が、長い時間を超えて共演したわけである。

 この「負けないで」は、ZARDが活動を停止してからもう何十年もたっているのに、今でも広く愛され続けている曲だ。うちの子どもも、テレビに映る2人の女性シンガーと一緒に、楽しそうに唄っていた。

 今回は、このZARDについて書こうと思う。

 ZARDといえば、90年代以降の日本の音楽シーンを代表する存在である。ヒット曲も多数。ただ、その印象がリアルにつかみづらいのは、歌番組に出たりライヴをしたり、あるいはプロモーションやキャンペーンでメディアに露出したりということが、初期の一時期を除いて、基本的にはなかったためだ。裏を返せば、そのぐらいZARDはレコーディング作品こそ最重要という姿勢を貫いていた。

 僕は、あまりにも完成度の高いその音世界が気になって、ZARDについての原稿を音楽情報誌「WHAT’s IN?」(エムオン・エンタテインメント)に寄稿していたくらいだった。ただし残念ながら、坂井にインタビューしたことも、接見したことも、ない。こちらからアプローチしたことといえば、メール……じゃなくて、当時だからFAXでの質問票を介した、文章上のみのインタビューくらいだ。だから歌を聴きながら、果たして彼女はどんな人なのかを考えたものだった。

 そんな仕事をしていた関係で、周りから時々、坂井についての話が間接的に入ってきた。といっても、大したことではない。ある出版社の方は、雑誌の取材を受けるために彼女が来社したことがあったそうで、「それらしい女の人をチラッと見かけましたよ。思ったよりも小さかったな」と教えてくれた。それだけだ。

 ZARDのアーティスト写真を撮ったことがあるというカメラマンさんは、撮影の合間に坂井とちょっとだけ話をしたという。「普段は何をしてるんですか?」と訊いたところ、彼女は「詞を書いてますね」とだけ答えたらしい。「いかにも」な話すぎて、こちらとしてはひとつも盛り上がらなかった。

 そのぐらい坂井泉水という存在は、誰に対しても、近くなかった。ZARDといって多くの人の頭に思い浮かぶヴィジュアルは、どこかアンニュイな坂井の像だろう。写真の多くはソフトフォーカスで、映像にしてもあまりクリアーではなくて、表情は豊かではなくて。その画の中で、彼女が道にたたずんでいても、ステージで唄っていても、またレコーディングの風景だとしても、遠い世界にいる人のような感じがいつもしていた。

 もっとも、このあたりは……テレビ出演やライヴもしていたデビュー当初はそうでもなかったことを思うと、だんだんとイメージ戦略化していった気配がある。この世に確かに存在しているのに、ミステリアスであるというか。

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