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“イグジスタンス”するために絵を描くことを選んだ画家・はくのがわ

イグジスタンスするために絵を描くことを選んだ画家・はくのがわの画像1
画家・はくのがわさん

 現在、アウトサイダーアート界隈で話題の一人の女性アーティストがいる。今、大注目の若手画家・はくのがわ(26)だ。躁鬱病と診断されて以来、何度も精神病院の入退院を繰り返しながら活動を続けてきた彼女。最近では街へ出て、大声を出しながら絵を描いている時に何よりもの幸せを感じるのだという。なぜ、このようなパフォーマンスを始めるに至ったのか? そこには、取材を進めるうちに見えてきた祈りにも近い、切実な「願い」があった。

■絵を描くことでのみ“生きてる実感”が持てた幼少期

 精神病院に通うようになった頃、デイケアに組み込まれている作業療法として絵画のプログラムを選択した。2014年、展示に出してみないかと声をかけられたことが、現在の活動に繋がるきっかけになったという。幼い期から絵を描くことが好きだった? と聞いてみると、「恥ずかしいけど……」と照れながら意外な返答が返ってきた。

「それよりも人に見られながら描くことのほうが楽しかった。私、すぐに友達と揉めるような子だったの。でも、教室のなかで絵を描いてると誰かしら『何描いてるの?』って話しかけてくれるでしょ。そういう時にだけ、生きてる実感が持てたというか。だから、自分より上手でみんなの注目を集めるようなクラスメートのことは嫌いだったよ(笑)」

──じゃあ、人の絵を見ることにはあまり興味がない?

「ないね。あはは(笑)。今ならなんでも面白がれるけど、当時はまったく。こんなのつまらないって思ってた。小さい頃、漫画家になりたかったんだよ。それなのに絵は上達しないままだし、ムカつくことのほうがずっと多かった。だけど、どこかしら拠り所ではあったんだよね」

──自分の描いた絵をSNSにアップするようになったのが、その頃?

「うん。簡単に言えば、捌け口だね。当時、『南条あや』っていうメンタルヘルス系のネットアイドルがいて、彼女のホームページにどハマりしてた。そのうちに、“リストカット”とかそういう単語を目にするようになるでしょ。私とやってることおんなじじゃんって思ったの。ちっちゃい時から自分で壁に頭をぶつけたりしてたよ、バーン! バーン! みたいな(笑)。昔から、いろいろおかしかったよね」

──「ムカつくことのほうが多かった」って、その感覚が変わったのはいくつぐらいの時なんでしょうか?

「中学生になって、いろんな音楽を聞くようになってからかな。ギターのリフがすごく気持ち悪い曲を見つけて、気持ち悪いなぁって聞いているうちに『でも、私はこれが好きだな』って。その時に初めて、普通じゃなくても良いんだって思えたんです。それからは周りの目を気にせず、自分の描きたいものを描くようになって、ようやく絵を描くことそのものを楽しめるようになっていった感じなんだよね」

イグジスタンスするために絵を描くことを選んだ画家・はくのがわの画像2

■丸を描いた時に自分を肯定できた

 ひと通り生い立ちについて話すと、おもむろに床に落ちているチラシを手に取り、その裏に絵を描き始める彼女。「黄色がいいかな? あ、でもこの色嫌いなんだよね……」と、独り言を呟きながら、目の前の世界に没頭する姿はまるで子どものよう。ここで、はくのがわ流・絵の描き方について、話を聞いてみることにした。

──この前まで白黒で描いていたように思うんですけど、最近はカラーが多いよね。これは、何かきっかけがあったんですか?

「たまたま友達に画材をもらったから使ってるだけで、楽しければなんでもいいと思ってるから、何に描くかも気にならない。電話をしながら、落書きしたりするじゃん?私、そういうことが好きなんだよね。そのほうが、逆に集中できる」

──何を描きたいとか、そういうものは?

「“イグジスタンス”です。つまりは『生存』ってこと。それが私にとって必要なことだから描くんじゃない? 鬱で何もできなくなってた頃に1日ひとつ、何かするだけで達成感を得られるらしいっていうのを知って、ある時に壁に大きな紙を貼って立体的な丸を描いてみたの。そしたらなんとなく、『あ、今日一日なんかできたじゃん』って思えたってだけの話なんです」

──それが原点となって、今まで絵を描いてきたわけですね。この先で、何かにつながってほしいって思うことはありますか?

「みんなが幸せになればなんでもいいよ。だけど最近、それには私の幸せが必要なんだってことに気がついた。私が笑顔でいれば周りの人たちも幸せでしょ。もちろん、欲望はあるし、絵だって学んでみたいと思ったら学びたいけど、どうせみんなと同じことやってるんでしょ? バーカって思ってるので(笑)。私は周りの人たちのために、自分が楽しいと思うことをやりたい」


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