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最終話は15.4%! 菅田将暉主演『3年A組』はなぜ支持されたのか?

柊は明らかに私たちにメッセージを送っていた

 郡司(椎名桔平)を人質に取り、校舎の屋上に上がった柊は、「すべての真相をお話する」とSNSでライブ中継を行った。

 まず、澪奈が亡くなった当日にビルから柊が出てきた映像について。これは相良孝彦(矢島健一)協力のもとに柊が製作したフェイク動画だった。その事実を知り、「俺たちをコケにしたってことかぁぁぁ!」「ワレ、何がしたいんじゃボケッ!」と怒りの書き込みがSNSで相次いだ。

「ハハハッ! 混乱してるねぇ! なのに、けなすことは忘れない。これだよ、これ! これが、俺が立てこもった最大の理由だよ」(柊)

 フェイク動画を使い状況を二転三転させ、いかに不確かな情報に踊らされているかをネット民に自覚させる。これが柊の狙いだ。柊を凶悪犯扱いし、その後にヒーロー扱いし、武智大和(田辺誠一)に矛先を変え、再び柊を糾弾。確かに彼らは信憑性のない情報を元にたびたび態度を翻し、その都度、罵詈雑言を浴びせていた。

「これを娯楽としか思っていないあんたに言ってんだよ! おい! そこの!! 周りに流されて意見を合わせることしかできない、お前に言ってんだよ!」(柊)

 マインドボイスに向き合う柊の視線が、視聴者の視線と合っている。「お前らに言ってんだ!」と叫ぶ柊。彼は、ドラマを見る我々に直接伝えようとしている。明らかに、私たちに向けての言葉だった。

「お前ら、景山の何を知ってたんだよ? 何にも知らねえだろ! 会ったことねえだろ、話したこともねえだろ! 大して知りもしないのに、なんであんなに叩けるんだよ? 『ウザイ』『キモい』『死ね』、よくもまぁそんなゲスなワードがポンポン出てくるもんだわ、恥ずかしい……。それだよ、それ! そのお前の自覚のない悪意が、景山澪奈を殺したんだよ!」

「自分の親や、友だちに面と向かって言えない言葉を、見ず知らずの他人にぶつけんなよ。お前のストレスの発散で他人の心をえぐるなよ」

「右にならって吐いた何気ない一言が、相手を深く傷つけるかもしれない。独りよがりに、偏った正義感が束になることでいとも簡単に人の命を奪えるかもしれないってことを、そこにいる君に! これを見ているあなたに! 一人一人の胸に刻んでほしいんだよ。他人に同調するより、他人を貶すより、まずは自分を律して、磨いて作っていくことが大切なんじゃないのか?」

 こんなに熱弁を振るったとしても、ネット(私たち)はきっと変わらない。このメッセージを受け止め「感動した」と言っている人も、きっと数日後には忘れてしまう。いじめがなくならないのと同じようにゼロ。それが現実だ。3周忌の際、柊の遺影にさくらが語りかけた「あの事件で世の中が大きく変わったなんてことは全然ない」という言葉はリアルだった。

 ドラマはある1人のネットユーザーへフォーカスする。柊のライブ中継開始を待機し「叩く準備はできたぞ、ばっちこーい!」と書き込んだ青年である。数年後、彼は「お前なんか死ねばいいのに」と書き込む寸前に思いとどまり、打ち込んだ文字をdeleteした。

 きっと、ネットは変わらない。でも、誰か1人でも考える機会になればいい。この青年のように。それが制作陣の思いではないだろうか。

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