深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.526

『ハロウィン』のブギーマンはミソジニストか? 伝説の凶悪殺人鬼と被害者一家との40年戦争!!

2019/04/05 19:30

オリジナル版『ハロウィン』の公開から40年。女子高生だったローリー(ジェイミー・リー・カーティス)はブギーマンとの決着に挑む。

 ジョン・カーペンター監督の出世作となった『ハロウィン』(78)は製作費30万ドルという低予算映画ながら、映画史に残るマスターピースとして今なお人気が高い。ハロウィンの夜、お面を被った大男が包丁を片手に襲ってくるというシンプルな恐怖譚だが、『ハロウィン』の世界的大ヒットを受けて、『ハロウィンII』(81)や『13日の金曜日』(80)などの続編や類似作が続々と生み出されていった。全米で2018年に公開された新作『ハロウィン』は、オリジナル版の40年後の人間模様を描いた注目作となっている。

 ハロウィンはもともとはケルト文化圏のもので、収穫を祝う非キリスト教徒たちのお祭りだった。そんなお祭りの夜に、精神病院から逃げ出してきた男マイケル・マイヤーズが平凡な住宅街に出没する。テレビで懐かしい恐怖映画を見ながら夜更かししていた子どもたちは、白い不気味なお面を被ったマイケル・マイヤーズを、伝説上の怪物“ブギーマン”として恐れおののく。幼少期に殺人を犯したマイケル・マイヤーズの心の闇と、子どもたちが妄想する悪夢の世界がシンクロしたかのような幻想性のあるホラー映画だった。

 オリジナル第1作で描かれたマイケル・マイヤーズの経歴を簡単に振り返ってみよう。マイケル・マイヤーズは米国イリノイ州ハドンフィールド育ち。マイヤーズ家の息子マイケル(当時6歳)はハロウィンの夜、両親の不在中にボーイフレンドとイチャイチャしていた姉ジュディスを刺殺してしまう。未成年であることから精神病院に送られたマイケルは、彼の反社会的性質に気づいたルーミス医師によって隔離病棟に幽閉されることに。やがて21歳になったマイケルは、病院から脱走。故郷ハドンフィールドに戻った彼は、ハロウィンの夜に再び殺戮を始める。そんなマイケルに執拗に狙われるのが、ベビーシッター中の女子高生ローリー(ジェイミー・リー・カーティス)だった。マイケルとローリーとの長きにわたる戦いの始まりである。

『サイコ』(60)に出演した金髪女優ジャネット・リーの娘ジェイミー・リー・カーティス。彼女自身が母子二代にわたる“絶叫クイーン”だ。

 なぜマイケル・マイヤーズは、地味めの女子高生ローリーを狙い続けるようになったのか。シリーズ第2作『ハロウィンII』では、ローリーはマイケルの生き別れた実の妹であることが説明された。また、ロブ・ゾンビ監督によるリメイク版『ハロウィン』(07)では幼いマイケルが内包していた反社会的性質は、母親の溺愛と酒びたりの継父の無理解という歪んだ家庭環境によって誘発されたという心理学的な解釈が与えられた。幻想性豊かなオリジナル第1作は、多くの人たちのイマジネーションを刺激し、深読みしたくなる面白さがあった。

 新作『ハロウィン』は、シリーズ第2作以降の後づけ的な説明や解釈はいっさいなかったものとしている。実録犯罪映画『コンプライアンス 服従の心理』(12)を製作総指揮したデヴィッド・ゴードン・グリーン監督は、オリジナル第1作を原典としてリスペクトし、新シリーズとして本作を撮り上げた。あたかもオリジナル第1作で起きた凶悪事件は、実在するものであるかのように。40年前にハドンフィールドを震撼させたマイケル・マイヤーズは精神病院で厳重に隔離されていたものの、折からの福祉予算の大幅なカットにより大病院へ統合されることに。案の定、マイケルは移送の際に警備員を殺害して脱走。この知らせを聞いて、笑顔を浮かべるひとりの女性がいた。

最終更新:2019/04/05 19:30

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