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人生に「もし」はないから――ドラマ『パーフェクトワールド』第9話

同じ痛みを抱えた者同士

 樹は、仕事で、交通の不便なところにある物件の下見に行くことになる。一人で大変だろうと考えたつぐみは、長沢に同行を依頼する。熱心にお願いするつぐみを見て、長沢は言う。 「あなた、変わったわね」。 そして、つぐみは、「変われたのは長沢のおかげ」と答えるのだ。

 樹は、何度も何度も松本を訪ね、元久と話そうとする。しかし、取り合ってもらえない。元久からすれば、苦労することが目に見えている結婚を認める気にならず、また、息子のように可愛がってきた是枝を裏切ったことにも、許せなさがあったのだろう。

 樹とのヘルパー契約解除を受け入れた夜、長沢は是枝を呼び出し、お酒を飲みながら、それぞれの思いを話す。長い間好きであった相手が、別の人と恋人になってしまう。その意味で、二人の心はわかり合えているようだ。

 このシーンを見ていて、漫画『みゆき』(小学館)のラストを思い出した。

 妹・みゆきの結婚式で、血の繋がらない兄・真人は、「妹と別れたくない」と告白。みゆきもそれに応え、結婚は取り消しになる。新郎であった、サッカー選手・沢田と、真人に想いを寄せていた鹿島みゆきが、旅先で偶然再会し、何かが始まるような雰囲気を残しているのだ。

 同じものを好きでいるという「共感」も大切だが、「同じ痛みを知っている」という共感もまた、人と人との関係においては重要なのかもしれない。是枝と長沢のこれからの関係にも注目だ。

 最後には、樹とつぐみの関係を象徴するようなアイテムが出てきた。つぐみが高校生の頃、樹を思って描いた体育館の絵である。樹への想いを断ち切るため、一度は捨てようとしたものを、是枝がとっておき、樹に渡したのだろう。「絵を見れば描いた人が相手をどれだけ好きかわかる」という是枝の言葉通り、10年以上前のつぐみの樹への想いが溢れている。そして、その二人が見つめる絵もまた、こうして結ばれた二人のことを喜んで見ているように思えた。

 波乱の末によりを戻した二人。応援する人も、認めない人もいる。

 来週はいよいよ最終回。いろんな人の優しさに溢れたドラマだったから、見終えて穏やかな気持ちになれるようなラストを期待したい。

(文=プレヤード)

 

最終更新:2019/06/19 16:04
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