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投げかけられた問いに、私たちはどんな答えが出せるだろう――ドラマ『パーフェクトワールド』最終話

それぞれの未来

 しおりと、樹の同僚・晴人(松村北斗/ジャニーズJr.・SixTONES)の関係も、前に進みそうだ。しおりと付き合いたい一心で勉強に励んだ晴人は、見事二級建築士の試験に合格する。足に障害がある晴人は「やっとこれで対等になれる」と話すが、しおりは、「弱点や欠点のない人間はいない。最初から対等だ」と答える。しおりもまた、晴人と出会って変わったようだ。

 樹とつぐみは、結婚することとなり、役所に行く。結婚届を受理するシーン、窓口の人を演じたのは、主題歌「まちがいさがし」を歌っている菅田将暉だった。なかなかニクい演出だったのではないだろうか。

 そして、是枝と樹のヘルパーであった長沢(中村ゆり)も、何やらいい雰囲気だ。樹とつぐみの結婚式の日に、二人はデートしていた。

 彼らは、結婚式に呼ばれなかったのだろうか? いや、多分辞退したんだろう。自分たちとの関係から解き放たれて、樹とつぐみ、二人の世界を新たに築いて欲しい、そんな願いを込めて。

 結婚式、二人で暮らす家の様子、樹がバリバリと仕事をこなす様子、車椅子バスケの試合……ドラマのラストでは幸せなシーンが続く。それぞれが、それぞれの未来に向かって歩き出したのだ。

 今一度、このドラマのキャッチコピーを思い出してみよう。

「いつかこのドラマが、ただのありふれたラブストーリーになりますように」

 それは、障害がある人を特別視しない、ということではないと思う。誰もが足りないものを持っていて、それを補い合って生きている、もしかしたら、その足りない部分こそが、愛おしく、尊いものなのかもしれない。そんなことに気づかされる。

 このドラマは、見ている人にたくさんの問いを投げかけた。障害を持つことは不幸なことなのか? 自分の弱さと向き合うとはどういうことか? そして、普通の生活とはなんなのか?

 それらは、私たちに出された宿題のようなものだ。ドラマはきっかけにすぎない、後は私たち自身の頭で考え、さまざまな人たちと会って、答えを探していけばいい。

 今、社会のありかたや感じ方は、速いスピードで驚くほど変わっている。それはいい面も悪い面もあるだろう。ただ、こんな作品を通して、少しでも「いい方にいったらいいな」という気持ちが芽生えたなら、ドラマが目指した世界に一歩近づけるような気がするのだ。

(文=プレヤード)

最終更新:2019/06/26 19:30
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