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吉本騒動の渦中でスタートした『べしゃり暮らし』は意義ある実写化になるか?

漫才シーンで感じるべきは“笑い”より“熱さ”

 お笑いを題材にしたドラマは、笑いの再現も難しい。さまざまな映画やドラマで俳優が漫才師を演じるシーンを見てきたが、残念な出来になるケースは多い。漫才に演技力は必要だけれど、それでいて漫才と芝居は別物である(だから、2018年3月まで放送されたテレビ朝日『笑×演』はチャレンジングな番組だった)。

 今作では、間宮と渡辺が長尺の漫才に挑んでいる。当然、観ていて“アハハ!”と笑えるクオリティには達していなかった。難しいことはそもそもわかっていたし、プロ並みの出来を求めるのが酷というもの。今作で演出を務める劇団ひとりは、「お笑いナタリー」のインタビュー(19年7月27日)でこんな発言を残している。

「期待して観てくれる方もいると思うんですけど、たぶん笑えないと思います(笑)」

「今回お笑いのシーンをやるうえで『とにかくそれっぽく見える』というところまでは、どうしても上げたかったんです。それさえできたらいいと思いました」

『べしゃり暮らし』の漫才シーンでは、面白さよりも熱を感じたい。今作は人間ドラマとして観るべきストーリーだと思う。

「漫才でなくても『何かやりたい』という気持ちになってくれたら」(渡辺)

 辻本潤役を務める渡辺大知は「テレ朝POST」インタビュー(19年7月27日)で、こんな発言をした。

「今回のドラマは漫才に魅せられる若者の話ですけど、好きなものとかやりたいことにまっすぐな気持ち、熱量、かける想い、がむしゃらさが美しく映ればいいなと思いながら演じました。ドラマを見てくれた10代の人たちがアツい思いを持ってくれたら嬉しいですし、漫才でなくても『自分も何かやりたい』という気持ちになってくれたらいいなって思います」

 肩をぶつけ合いながら舞台の袖からセンターマイクへ駆けていく疾走感。王道ともいえる手法だが、ここに熱と青春を感じることこそ醍醐味だと思う。渡辺が間宮にコンビ結成を申し出、その後、一度は断った間宮が逆にアプローチをし返すくだりは恋愛みたいでソワソワしたものだ。

 キャスティングもいい。間宮は26歳で渡辺は28歳。両者とも高校生活から10年前後経過しているが、それでもキラキラしていた。間宮が持つ暑苦しさは圭右のキャラクターに合っているし、『火花』(Netflix)で売れないストリートミュージシャンを演じた渡辺が辻本役を務めるのも感慨深い。原作のイメージを壊さない配役だと思う。加えて今夜放送第2話では、辻本の元相方役として小芝風花が登場する。彼女の大阪府出身というパーソナリティが生きるか、要注目だ。

 近年、NSC(吉本総合芸能学院)の入学希望者は定員割れしているという。連載開始時には有効だった「芸人を目指す」という設定も、今はさほど共感を呼ぶものではなくなった。しかも、お笑いというジャンル自体が大きな局面を迎えている。だからこそ、意義あるドラマ版になってほしいと願っている。

(文=寺西ジャジューカ)

最終更新:2019/08/03 14:00
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