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池上彰の「35%必要論」でさらなる増税後押しも? 安倍政権が捻じ曲げた消費税悪用のゆくえ

法人税減税の“穴埋め”を消費税で補ってる?

 そもそも、消費税率を引き上げる以外に税収を増やす方法はないのかと言えば、答えは「ノー」だ。

 まず、法人税を引き上げればいいのだ。否、引き上げというのは正確ではない。安倍政権以前の水準に戻すと言う方が正確だろう。安倍首相はアベノミクスの成長戦略の一環として法人税率の引き下げを進め、第二次安倍政権発足時に37%だった法人実効税率は29.74%まで減少している。さらに、研究開発費については租税特別措置法による減税が行われるなど、企業は税制面で個人に比べて非常に優遇されている。

 その反面、企業は減税で浮いた利益を従業員に分配することなく、貯めこんでいる。実質賃金は上昇するどころか低下しているのに、企業の内部留保は増大を続けているのだ。

 財務省の法人企業統計によると、2018年度の企業の内部留保は16兆6000億円増加し、過去最高の463兆1308億円となった。安倍政権になってから、企業の内部留保は過去最高を更新し続けている。つまり、法人税減税の“穴埋め”を消費税で行っているという構図となっている。

 9月28日のテレビ朝日で放送された『池上彰の実は知らない消費税増税日本のお金』という番組では、池上彰氏が「少子高齢化で増大している日本の社会保障費を賄うためには、消費税を35%まで引き上げる必要があると強調」している。筆者の記憶では、同氏はそもそも“消費税引き上げ反対”だったと思うのだが、その“見識の無さ”にあきれ返ってしまった。

 驚くべきは、すでに消費税率を10%から引き上げるための素地作りが始まっていることだ。9月初旬の政府税制調査会の議論の中では、委員から「消費税は10%がゴールではない」との意見が出された。今回の答申では、消費税率のさらなる引き上げには触れられていないものの、消費税率の引き上げに向けた素地作りはすでに始まっているのだ。

 消費税率10%への引き上げの前日の9月30日、菅義偉官房長官は会見で、「今回の引き上げで、全世代型社会保障の実現に向けて、幼児教育・大学の無償化など社会保障を充実させるとともに、急速な高齢化などによって伸びていく社会保障の安定財源を確保している」と消費税率引き上げの目的を改めて強調した。

 しかし、10月1日の消費税率引き上げと同時に、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度では、低所得者の保険料を軽減する特例措置が、“廃止”されたことを申し添える。

 これが、安倍政権が言う「全世代型社会保障の実現」ということなのだろうか?

最終更新:2019/10/07 13:41
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