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佐野SAのストライキも再び過熱、労働組合は弁護士にもない強い権利を持っている

前編では、ブラック企業と戦う際に相談できる場所は、「弁護士」「労働基準監督署」「労働組合」の3つだと説明した。後編では、労働組合に相談する際のポイントや自分で労働組合をつくる方法について解説する。

弁護士と労働組合 どちらに依頼するべきか
 長時間残業や残業代未払い以外の労働トラブルは、弁護士ないし、労働組合に相談したほうがよいだろう。ただし、労働組合は必ずしも法律を学んだ者がいるわけではなく、交渉力が弱い労働組合だとトラブルがさらに長引くリスクもある。どちらに相談すべきか迷った場合は、以下の点についてチェックしてほしい。

・交渉や訴訟に発展する場合を想定して弁護士費用を用意できるか
・法的な問題なのか、ハラスメントなどの問題なのか

 退職勧奨や不当解雇などのトラブルは、純粋に法的な問題なので経済的な事情が許すならば弁護士に依頼すれば、撤回までスムースに解決してくれる可能性が高い。しかしながらパワハラやセクハラといった、職場の人間が態度を改めない限り解決しない問題については、弁護士に依頼しても一時的な解決に留まることが多い。

 このようなトラブルの場合、労働組合に加盟して交渉するほうが効果は高い。労働組合は団体交渉権といって、経営者側を交渉の場に強制的に着かせることができる権限を与えられているからだ。法的強制力をもった存在が社外で監視しており、こちらがおかしなことをすれば、また繰り返し会社にやってくると感じさせるほうが、問題解決につながりやすい場合が多い。

まずは弁護士に相談 労働組合にセカンドオピニオンを求める方法が無難
 とはいえ、私個人としては、まずは弁護士に相談することを勧めている。労働組合は法律を必ずしも熟知しているわけではないので、初動を誤るとこちらが不利になり、取り返しがつかなくなるケースがあるからだ。

 また、弁護士は労働法以外の法律についても知識があるため、他の法律を適用して決定的な解決方法や抑止力となる方法を見つけてくれることもある。まずは、日本労働弁護団をはじめとした労働事件に強い弁護士に相談してみるとよいだろう。そのうえで、法律的な問題として対処できない場合は、労働組合に持ち込んで抑止力を働かせるという方法が賢明だ。

・ブラック労働組合に気をつける
 ただし、労働組合の中には「ブラック労働組合」も存在する。後述するが労働組合は簡単に作れるうえに、やり方次第では、非弁行為(弁護士の資格を持たずに他人のトラブルに介在して金銭を受け取る行為)や、企業恐喝まがいのことを合法的に行える。このことを悪用する団体がいるのも事実なので注意が必要だ。

 労働組合の名前を検索してみて、過激派との関係が見られたり、昔の学生運動に参加していた人たちがキーマンになっている情報が出てきたら、近づかないほうが無難だ。また、特定政党の政治活動支援や、社会問題の解決をやたらと訴えている団体も連絡を控えたほうがいい。自分の労働問題の解決には真摯に対応してもらえず、選挙活動や社会問題のデモ運動などに駆り出されるだけに終わることもありうるからだ。

 相談すべき労働組合について迷ったら、大手の労働組合である「連合」や「全労連」といった団体が無料相談を受け付けている。弁護士に相談した見解も伝えたうえで、解決方法がないか相談してみるとよい。

・相談の際のポイント 事件の経緯と解決の着地点を事前に明確にすること
 ただし、弁護士に相談する場合も、労働組合に相談する場合も、事前にポイントを押さえて整理しておく必要がある。トラブルの当事者が口頭で話そうとすると、うまくいかないことが多いからだ。特に弁護士に相談する場合は、時間制になっていることがほとんどなので、だらだらと時間をかけて説明すると、それだけ費用がかさんでしまう。

 そういったことを避けるために、トラブルに巻き込まれてから現在までの状況を時系列にまとめた資料を作っておくとよい。資料と言っても簡単なもので大丈夫。「●年●月●日に誰からこういったことをされた」ということを羅列した資料だけでも作ってから相談すると、あなたが現在置かれている状況を的確に伝えられ、また相談もスムーズに進む。

 相談に先立ってもう1つ整理しておいてほしいことがある。それは、問題解決の現実的な着地点を明確にするということだ。

 私も労働組合でパワハラやセクハラ被害にあっていた方の相談を担当していた。もっとも困ったのが「上司の真摯な謝罪を要求する」といった、感情での解決を求めるケースだ。気持ちはよくわかるが、相手側が真摯に謝ったとしても、被害感情が癒えないケースは珍しくない。また、相手側が「謝るだけで済むならいくらでも謝ってやる」と開き直り、事態の解決につながらないことも多い。

 着地点としては、相手の厳重な処罰を求めるか、再発の防止を社内で取り組み、具体的な方法を報告すること。再発した場合は、賠償を含めた法的対処を行う旨の書面に署名捺印をさせ、経過を見るなどといった対応を交渉の着地点にしたほうがよい。あくまでも形に残る落としどころを明確にすることが大事だ。

東北道佐野SAケイセイ・フーズ労働組合に与えられている強権
 労働組合は弁護士に与えられていない権利である団体交渉権が与えられている。団体交渉権とは、会社側を強制的に話し合いの席に着かせる権利だ。なお、企業側が交渉を拒否するなど、不誠実な対応を行った場合は不当となる。

 この場合、多くの労働組合は各都道府県に設置されている労働委員会に救済申し立てを行うが、その結果、団体交渉の拒否が不当だと認められれば、不当労働行為として企業側が過料に処されるだけでなく、損害賠償責任を問える可能性が出てくる。

 また労働組合は、団体交渉を通じた話し合いをしても平行線をたどる場合は、団体行動権を発動できる。いわゆる「ストライキ」だが、労働組合に加盟した従業員全員で仕事を放棄しても、経営側は組合員を解雇することはできない。また、一定の条件下でストライキを行う場合、会社側は損害をこうむった内容について、民事事件や刑事事件として労働組合を提訴することができない。

 直近では、栃木県の東北道佐野SA上り線にあるフードコートを運営するケイセイ・フーズ従業員がストライキを行って注目を集めている。もちろん、労働組合側の主張のみを根拠に、労働組合側の主張が正しいとは断言できない。しかしながら、大前提としてケイセイ・フーズ労働組合には、前述の強権が法で認められており、あなたが労働組合に加入しているのならあなたにも同じ権利が保障されていることは知っておいていただきたい。

業務委託や請負で働く人も労働組合には加盟できる
 あまり知られていないが、労働組合は、個人事業主である「委託」「請負」で働く人も加盟したり結成したりすることができる。実際に、フードデリバリーで知られるようになったウーバーイーツに業務委託で働く人たちが、「ウーバーイーツユニオン」を結成している。また、コンビニエンスストア経営者で結成した「コンビニ加盟店ユニオン」は、岡山県労働委員会に正式に認可され法人登記されている。

 「ブラック企業を見分ける方法」で、「委託」や「請負」で働くことは、リスクが大きいことを説明した。しかしながら、正社員として雇用されることが難しい時代になっている。また、建設業や機械製造業などをはじめとして、「委託」や「請負」で働く人が多数を占める業界も多い。そのような働き方を選択する場合は、仕事を発注してきた依頼主とトラブルに発展した場合の救済措置の一つとして、労働組合があることを知っておいていただきたい。

労働組合は2名から作ることができる
 また、あまり知られていないが、労働組合は簡単に作ることができる。労働組合法第2条では、労働組合の定義を「団体」としている。この解釈については学説が分かれているが、2名以上の人が主張すれば正当性を帯びると解釈されている。つまり、労働形態に関係なく、働いている人が2名以上集まって規約を作り、労働組合を結成したと会社側に通達すれば、合法的に労働空組合を設立できるのだ。

 ただ、自分たちだけで労働組合を立ち上げて会社と闘うとなると、ノウハウの蓄積がないぶん圧倒的に不利となる。まずは外部の信頼できる労働組合に加盟し、同じ職場で働いている人たちを誘って加盟してもらうとよい。一定人数が加盟したら、外部の労働組合の支部としてノウハウを教えてもらいながら、社内で労働組合をつくるとよいだろう。

(監修/山岸純)
(執筆/松沢直樹)

最終更新:2019/11/27 05:30
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