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テレビウォッチャー・飲用てれびの「テレビ日記」

オードリー・若林から宮下草薙・草薙へ受け継がれる「自意識過剰芸人の葛藤」

オードリー若林

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(12月1~7日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

オードリー・若林「俺もね、ホントやりにくかったのよ、35から40までが」

 古代中国の思想家である孔子は「四十にして惑わず」と言った。19世紀のフランスの詩人、ヴィクトル・ユーゴーは「40歳は青年の老年期」と書いた。そして、先日結婚したオードリー・若林は40歳を迎えたときに、「おじさんになって体力がなくなると、悩むことができなくなるんだ」と気づいた(『ナナメの夕暮れ』文藝春秋)。

 なるほど、40歳は人生の折り返し地点。自身の来し方行く末を考え直す年齢として、古今東西、共通するのかもしれない。ただ、晩年の思想家が“悟りを 開き始める時期”みたいに位置付けた年齢を、“体力がなくなって悩めなくなった時期”と喝破する若林はさすがである。いや、別に若林は孔子を意識して書いてはいないのだけれど。

 そんな若林がMCを務める『あちこちオードリー』(テレビ東京系)が7日に放送された。この日のゲストはアルコ&ピースと三四郎の2組。これにオードリーを加えた3組が、中堅芸人としてテレビで活動するときの難しさを語り合っていた。

 若林は語る。

「俺もね、ホントやりにくかったのよ、35から40までが。もう人見知りじゃないし、女の子苦手なんか言ってらんないし。だから、よくわかんなかった。ガールズバーばっか行ってるみたいなキャラを自分につけようと思ったけど、頑張って」

 オードリーが『M-1』で敗者復活から決勝進出を果たし、強いインパクトを残したのは2008年。このとき若林は30歳だった。そこからテレビで活躍の場が広がり、冠番組も多く持ってきた。当初は春日の貧乏キャラが注目されていたが、徐々に「人見知り」や「女性が苦手」といった若林の自意識過剰なキャラクターも面白がられ始めた。

 もちろん、「人見知り」といった若林のキャラクターは作り込まれたものではない。3日の『セブンルール』(フジテレビ系)では、若手時代の若林を知るお笑いライブ・イベント制作会社のK-PRO代表・児島気奈が、当時の印象を「若林さんはホントに誰ともしゃべってないっていうイメージしかなくて。こんなに下向くかっていうぐらい下向いてるイメージで」と語っていた。

 しかし、若林は徐々にラジオ、本、テレビなど、さまざまな媒体で自身の変化を語り始める。いわく、自意識にさいなまれることが少なくなった。スターバックスでグランデと言って「気取ってる」と思われても、気にならなくなった。子どもの写真を印刷した年賀状にいつまでもムカついていたら、もう人として終わりではないかと思い始めた。ガールズバーに頻繁に通っていたら、人見知りも直ってしまった。「人見知り」とか「女性が苦手」とか、そんな自意識過剰なことは言っていられなくなった。

 そして、40歳を迎えたときに、「おじさんになって体力がなくなると、悩むことができなくなるんだ」と気づいた。

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