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日本版カジノ構想、外資や地方自治体の相次ぐ撤退で大きな分岐点に

文=鷲尾香一(わしお・こういち)

遅々として進まないIR計画に対して失望感も

 これには、政治の複雑な背景がある。鈴木知事が誕生した2019年4月の北海道知事選では、北海道選出の国会議員、道内の経済団体は国土交通省の官僚を擁立する方向で動いていた。しかし、菅義偉官房長官の後ろ盾により鈴木氏擁立が決まり、鈴木氏は知事選で圧勝した。菅官房長官は安倍政権内のIR旗振り役だ。神奈川県横浜市のIR誘致でもその影響力が取り沙汰された。菅官房長官の後ろ盾で知事となった鈴木氏は、IR誘致を完全に諦めるにはいかない。

 さらに、苫小牧市は橋本聖子五輪担当相の地盤だ。橋本五輪相のスポンサーは競馬界で最大の競走馬生産牧場の社台グループ。その社台グループの吉田勝己氏は苫小牧統合型リゾート推進協議会の副会長を務め、約100ヘクタールの所有地をIR用地として市に無償提供することになっている。鈴木知事の立場の複雑さがわかるだろう。

 

 だが、ここに来て、日本のIR参入に強い意欲を示していた海外のカジノ運営会社からも、日本進出を断念するところが出てきた。米国のシーザーズ・エンターテインメントは、日本でのIRライセンス取得に向けた活動を中止すると発表した。海外のカジノ運営会社の中には、日本でのIRライセンス取得の煩雑さや、カジノ税制の不透明さ、遅々として進まないIR計画に対して失望感を抱くところも出てきている。

 北海道苫小牧市は、候補地の自然環境と道民のIRに対する「不安感」が誘致見送りの原因となった。IR誘致を正式発表した神奈川県横浜市でも、住民の根強い反対運動が続いている。日本のIRは地域住民の理解を得なければ、簡単には誘致ができない状況だとも言える。今、日本版カジノは大きな分岐点を迎えている。

鷲尾香一(わしお・こういち)

鷲尾香一(わしお・こういち)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」ほかで執筆中。

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Twitter:@tohrusuzuki

最終更新:2019/12/23 12:12
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