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中国財界に独自のパイプ!? IR疑獄事件で特捜が狙う”もうひとりの大物議員”

国会議事堂

「カジノ利権」の全貌は暴かれるのか?

 東京地検特捜部は、IR(統合型リゾート)事業に関心を寄せていた中国企業の日本法人側が無届けで海外から現金数百万円を持ち込んだとする外為法違反事件に絡み、強制捜査に乗り出した。

「特捜部は、すでに秋元司衆議院議員の地元事務所を家宅捜索し、秋元氏や現金を持ち込んだ張本人とされる中国企業の役員ら複数の関係者への聴取にも着手した。今後の焦点は、特捜部がいつ逮捕に踏み切るか。検察担当の記者らの間では、年内にも関係者の身柄を取った上で、1月の国会召招集までに秋元氏を逮捕するのではないか、との見方が強まっている」(大手紙社会部記者)

 公権力の不正を暴くという使命を担う特捜部にとって、「バッジ」つまり現職国会議員の逮捕は「悲願中の悲願」(同)とされる。特に安倍晋三政権が音頭を取って推し進めてきたIR事業については、国内経済浮揚の起爆剤になるという期待感がある一方で、かねてから「不正の温床になるのでは」という懸念も一部に根強かった。

「そのIRにまつわる不正の摘発ということになればインパクトも大きく、特捜部の能力をアピールする絶好の機会にもなる。特捜部長の森本宏氏はこれまでに日産のカルロス・ゴーン元会長の特別背任事件や大手ゼネコンによるリニア中央新幹線工事をめぐる談合事件など、大型事件を次々と摘発してきた。秋元氏の周辺では、今回の件以外にもカネにまつわるさまざまな疑惑があり、特捜部が内偵を進めてきた様子がうかがえる。森本氏は、 特捜部長のキャリアの“仕上げ”にかかったということでしょう」(同)

 気になるのは、今回の事件が政界のどこまで波及するかという点だ。秋元氏は、二階俊博幹事長が率いる派閥「志帥会」に所属しているが、「二階派」の通り名で知られるこの派閥は、不祥事や醜聞を抱える問題議員が多いことで知られる。捜査の進展によっては、別の議員の事件への関与が浮上してくる可能性もゼロではない。

「もうひとり、事件に関与している疑いのある議員として名前が挙がっているのが、ある世襲の女性議員です。一時は『次期首相候補』として活躍が期待されたが、数年前に政治資金絡みのスキャンダルに見舞われて失速した。秋元氏とは所属派閥が違うが、事件の舞台のひとつになった中国の財界に独自のパイプを持っており、秋元氏とも親交がある。IR事業に絡む工作資金が渡ったひとりではないか、との見方も出ています」

 さる永田町関係者は、声を潜めてこう語る。

「五輪イヤー」の幕開け早々、列島に衝撃が走るかもしれない。

(文=伊芸有象)

伊芸有象(ルポライター)

1980年生まれ。在京新聞社や週刊誌を十数年渡り歩き、フリーのルポライターとして活動。犯罪や貧困問題などを精力的に取材している。

いげいゆうぞう

最終更新:2019/12/24 15:38
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