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落合博満のレジェンドは長嶋茂雄じゃなかった!? 五輪イヤーに注目したい“陰の主役”たち

文=オグマナオト(フリーライター、文化系スポーツライター、構成作家)

BS1スペシャル『レジェンドの目撃者 三冠王 落合博満』

 オリンピックイヤー2020を迎えるにあたっての年末年始。やはりというか当然というか、各局でにぎやかだったスポーツ系番組では「オリンピック注目の……」「頑張れニッポン」的なフレーズが多かった。

 そんななか、個人的に印象に残ったのは、「オリンピック」や「2020」を叫ぶものではなく、過去の戦いぶりを振り返るもの。年末も押し迫った12月28日、唐突に始まった「NHK BS1スペシャル」の新シリーズ『レジェンドの目撃者』だ。

 第1回のゲストは、三冠王3度の日本プロ野球界のスーパーレジェンド、落合博満。タイトル通り、レジェンド落合のすごさを知る人物たちの「目撃証言」をもとに番組は進行。それらの証言を受け、スタジオの落合が「アンサートーク」を返していく、というスタイルだ。

 この番組の魅力は、肝である目撃証言の“角度と多彩さ”。対戦ピッチャー(山田久志)、対戦キャッチャー(古田敦也)、裏方(専属打撃投手)、憧れる現役選手(山川穂高と平田良介)、対峙した審判……とさまざまな角度から、落合の打撃理論、バットとの付き合い方や練習方法などが明かされていく。これだけの人数に取材をする、ということがまず実直だし、その証言を裏付けるための映像を探し当てることだって相当な労力のはず。だからこその見応えと気づきが多かった。

「バットは体の一部」と語り、太さ0.1mmの違いまでも見抜ける落合。だからこそ、かたくなにバットグローブは着けず、素手でバットを持つことにこだわってきたという。対して、現役選手の山川は「バットの先っぽに当たると痛い。だから(痛みを和らげるための)バットグローブは欠かせない」と語る。そんな現代最高のホームランバッター山川に対して、「芯に当てればいいじゃない」とさらりとつぶやく匠っぷりは、「まさにレジェンド」とうなってしまった。

 と同時に、それらすごみのある伝説エピソードの合間合間に出てくる「妻・信子愛」「家族愛」トークが、またいい味を出していた。三冠王3度の秘訣を聞かれ「だって、(信子と)約束したんだもん」と語り、妻・信子の誕生日には3打席連続ホームランを打ってみせた落合。それはまさに妻への愛情表現だった。

 伝説の優勝決定戦「10.8」の試合当日の朝、家族に見守られて出発する落合の背中に「ホームラン打てよ」と声を掛ける悪ガキ福嗣くん。果たして、10.8決戦でしっかりホームランを打ち、息子に父の偉大さを見せていたわけだ。

 実はここ最近、80~90年代の野球について語るのは一種のトレンドだったりする。高木豊、金村義明ら往年のスター選手たちが続々YouTubeチャンネルを開設。今の野球についてのトーク回ももちろんあるが、独自色が出ていて楽しいのは、自身が活躍していた80~90年代を振り返るぶっちゃけトークだ。

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