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Netflix“全員悪人”ドキュメンタリー『タイガーキング』 狂気の悪徳ブリーダーが自粛疲れをブッ飛ばす!!

文=菅原S(すがはら・えす)

Netflix全員悪人ドキュメンタリー『タイガーキング』 狂気の悪徳ブリーダーが自粛疲れをブッ飛ばす!!の画像1
『タイガーキング:ブリーダーはトラより強者!?』Netflix公式Twitterより

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、アメリカではロックダウン(都市封鎖)が行われているが、自宅待機する人々によって需要が急増しているのが動画ストリーミングサービス。いま米国で大ブームとなっているのが、Netflixのヤバすぎる犯罪ドキュメンタリー作品『タイガーキング:ブリーダーはトラより強者!?』だ。

 2018年に逮捕され、野生動物に関する17の法令違反と2件の殺人依頼で有罪判決を受けた
“タイガー・キング”ことジョー・エキゾチックという男を追ったこのドキュメンタリーは、3月20日の配信開始直後からネットを騒然とさせた。キム・カーダシアンやカーディ・B、ジャレッド・レト、サム・スミス、マイリー・サイラスなどのセレブたちがSNSで言及した影響もあってバイラルヒットを飛ばし、配信スタートからたった10日間で3400万以上の視聴数を獲得。大ヒットTVシリーズ『ストレンジャー・シングス』に匹敵する記録を打ち立てた。「いま最もアメリカを騒がせている問題作」ともいわれるこの作品、なぜこれほど話題を呼んでいるのだろうか?

『タイガーキング』の揃いも揃ってヤバい出演陣

 まず『タイガーキング』のあらすじをザックリ紹介しよう。米オクラホマ州の私設動物園で1200頭もの猛獣を飼育する通称“タイガー・キング”ことジョー・エキゾチックは、トラのショーなどのビジネスで成功を収め、そのセンセーショナルなルックスや振る舞いから信奉者も多い。しかし、ジョーの動物に対する扱いを虐待として問題視した動物愛護団体「ビックキャット・レスキュー」代表のキャロル・バスキンが私設動物園の廃業を求める活動に乗り出したことで、ジョーVSキャロルのバトルが始まる。

 最も大きな魅力は、「こんな人たち、本当に実在したら困る!」と叫びたくなってしまうほど強烈な個性を持つ出演陣。ジョーのうさんくささと悪徳ブリーダっぷりをはじめ、多種多様な犯罪歴を持つ動物園の従業員たち、麻薬王にカルト教団のリーダー、さらに動物愛護に熱心なキャロルにも前夫殺害の容疑がかけられているなど、揃いも揃ってヤバい彼らは観ていて飽きない。興味深いのは、バラバラな個性と複雑な人間関係を築く彼らが“トラへの執着”という点で唯一の共通項を見せているところだ。トラに魅せられたヤツらの愛情はいつしか狂気に変わり、事件を巻き起していく。

バイラルヒットの背景にネットミーム化とネット飲み

『タイガーキング』がヒットに繋がった背景には何があるだろうか。実話ながらもはやリアリティーショー感覚で楽しめる作品自体の魅力はいうまでもないが、大きな理由のひとつに、ミーム(ネット上のネタ)化されやすい要素の多さが挙げられる。ジョーをはじめとするユニークな登場人物とその突飛な発言が、SNSをフィールドに「観た人だけが分かる」ネタとして拡散されたことで話題性を高めている。

 たとえば現在、動画アプリTikTokでは、ジョーのコスプレをしたユーザーが、作中で話題となった発言の音声をサンプリングした曲に合わせて踊ったり、ジョーのMVをリメイクしたりといった動画がトレンドになっている。在宅期間が続くなか、鬱々とした気分をユーモアで晴らすべくネットミームの爆発的な増加が見られているが、アイコン化しやすいジョーもひとつのブームになっているようだ。

 また、現在公開されている全7話は各50分弱と短めで、リアリティーショー感覚で仲間内で楽しめるという作品の特性が、いま世界的に行われている“ネット飲み”にフィットしたという見方もできる。本作のファンを公言する俳優のジャレッド・レトは3月27日、Twitterのフォロワーに『タイガーキング』の同時鑑賞を呼びかけて実況ツイートを行っていたが、同作がオンライン上で人々を結びつける娯楽として機能した例のひとつといえるだろう。オンラインミーティングアプリzoomの拡張機能『Netflix party』など、Netflix動画の共有再生を可能にするサービスも活発に利用されており、今後は“ネット飲み”のお供にオンライン鑑賞会がブームになりそうな予感もある。

 日を増すごと口コミを拡大している『タイガーキング』だが、主演をオーランド・ブルームにした映画化の話まで持ち上がっているという(ちなみにジョー本人は自分の役にブラット・ピットを望んでいるという話も)。ドキュメンタリーが大ブームになるという現象はここ日本ではあまり馴染みのないことに思えるが、今後は日本でも注目度が高まりそうだ。

菅原S(すがはら・えす)

菅原S(すがはら・えす)

編集者、ライター。1990年生まれ。webメディア等で執筆。映画、ポップカルチャーを文化人類学的観点から考察する。

最終更新:2020/04/13 16:30

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