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「あげみざわ」なkemioワードが日本語学習の教材に最適!? YouTube動画が韓国で大人気「彼は私の日本語の先生だ!」

「あげみざわ」なkemioワードが日本語学習の教材に最適!? YouTube動画が韓国で大人気「彼は私の日本語の先生だ!」の画像1
kemio公式YouTubeチャンネルより

 チャンネル登録者数173万人を抱え、今や日本を代表するYouTuberのひとりとしても活躍するインフルエンサーでタレントのkemio。2019年のJC・JK流行語大賞に輝いた「あげみざわ」をはじめとするフレーズを世に送り込み、同世代を中心に大きな支持を集めているkemioだが、最近ではここ日本だけでなく韓国の若者達の間でもブームを巻き起こしている。

 さらにビックリなのは、kemioのYouTube動画が語学学習の“教材”として重宝されていることだ。

 kemioがYouTubeにアップした動画には、ファンが有志で作成した韓国語字幕がつけられており、コメント欄には日本語だけでなく、韓国語で書かれた「見ていてとてもテンションが上がる」「中毒性があって好き」「ずっと笑いが止まらなかった」などの反応がちらほら。そのなかには、「“あげみざわ”って何なのかとても気になる」「彼の動画を通じて日本語を学んでいる」「日本語の勉強にも役立つと思う」「彼は私の日本語の先生だ」という、日本語学者も驚愕してしまうような意見もあるのだ。

 日本語ネイティブからすれば、kemioの「あげみざわ」や「スワイプして消すよ」「ありガミ探検隊」「どないなんだが」などのユニークすぎる言い回しや、自身が“口から文化祭”と表現するほど驚異的なスピードで展開していくマシンガントークが日本語の学習に繋がっているというのは、意外にも感じられるが……。しかし、まさにそこにこそ、kemioが韓国で人気を呼んだ秘訣があるようだ。

 日本語と韓国語の両言語に通じ、『ヤバいLINE 日本人が知らない不都合な真実』(光文社)などの著書のほか、訳書に『日韓国人の癇癪 日本人の微笑み』(小学館)などがある、ジャーナリストの河 鐘基氏はこう語る。

「非常に沢山の情報が詰め込まれたkemioさんのトークが、ほぼ完璧に韓国語として訳され、韓国の視聴者からしても違和感なく見て楽しめるレベルの字幕が付いていることは驚きです。両言語を理解する身としては、発言の意味合いだけでなく、kemioさんの口調もきちんと再現されているなという印象を持ちました。

 特徴的なのは、韓国語の擬声語や擬態語が翻訳に多用されているところです。kemioさんのトークは擬声語や擬態語のようなオノマトペが多く登場しますが、韓国の人からすると、『この表現って日本語ではこういう風に使われるんだ』と新鮮に受け取られるものだと思います」

 もちろん、全ての発言が既存の韓国語に置き換えられるわけではないので、日本語や英語で表記されている場合もあるが、kemioトークが持つ独特のニュアンスはしっかりと翻訳されているようだ。

「また、kemioさんの口調を再現するために、韓国語のスラングが使われているというのも面白いです。それらはLINEやSNS上などで友人同士でよく使われる表現で、例えば“ありがとう”を意味する“고마워요(コマウォヨ)”の語尾にパッチム(子音)の“ㅇ”を付け“고마워용(コマウォヨン)”とすることで、日本語でいうところの“ありがとうだよん”のような、弾んだニュアンスに近づけられていたりします。

 このように、若者が日常的なやりとりで使うような韓国語のフレーズに置き換えられることで、kemioさんの話すようなフランクな日本語が分かりやすく伝わっているのではないでしょうか」(河氏)

 独特の表現が満載なkemioのトークと、そんな彼らしさを出来るだけ忠実に韓国語で伝えようとする字幕作成者の工夫や思いが、視聴者にとって教科書では決して学べない“使ってみたくなるような”日本語の教材になっているのだろう。

 kemioはK-POPアーティストからも関心を寄せられており、TWICEの日本人メンバー・モモとサナが「kemioくん面白い」と語ったり、男性アイドルグループNCT127のテヨンが自身のiPhoneに貼った「あげみざわ」ステッカーを披露しながら「この言葉は、“ヤバイ”のもう一段階上の意味を持つ日本語のようです」と解説したりしたことで、ファンの間で話題となっていた。

 こうした韓国からの熱い反応は、本人も予想外だったかも知れない。今年2月、kemioはTwitterで「僕の動画で日本語を勉強している韓国のチング(友達)がいると聞いて、すごく嬉しいよ!僕も韓国語を頑張って早く皆さんと会いたい!皆さん…The love」と喜びの気持ちを表すとともに、韓国語の習得への意欲をみせている。

 さらにkemioは、流行の韓国カルチャー発信にも積極的で、今年に入ってからは、TWICEのダンスカバーにチャレンジしたり、世界で大ヒットした韓国映画『パラサイト』にも登場するB級グルメ“チャパグリ”や、昨年末から韓国を中心に流行している“ダルゴナコーヒー”をクッキングしたりする、ハイテンションな動画をYouTubeへ続々とアップしている。

 現在、kemioの動画コメント欄では、日韓のkemioファンによるそれぞれの言語を使った交流が盛んになっている。kemioを介して異国間の人々が繋がりあう、新しくも興味深い現象が生まれているようだ。

菅原S(編集者、ライター)

編集者、ライター。1990年生まれ。webメディア等で執筆。映画、ポップカルチャーを文化人類学的観点から考察する。

すがはらえす

最終更新:2020/05/09 11:10
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