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日刊サイゾー トップ > 社会  > 韓ドラ『愛の不時着』と北朝鮮モノ作品

脱北者の全面協力で大ヒットを記録! 韓国ドラマ『愛の不時着』に見る“北朝鮮モノ”作品の軌跡

テリー伊藤や三代目JSB・岩田剛典もハマっているという『愛の不時着』

 韓国で最高視聴率21.7%を記録したドラマ『愛の不時着』が、日本の韓流ファンの間でも大きな話題となっている。同作品はパラグライディング中の事故で朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)に不時着した韓国人女性ユン・セリ(ソン・イェジン)と、北朝鮮将校リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)が繰り広げるラブロマンスだ。

『愛の不時着』の人気の秘訣は、ヒョンビンやソン・イェジンなど人気俳優陣の熱演もあるが、特に女性視聴者からは「自分らしい女性の生き方を貫くヒロインの姿が魅力的」という評価が散見される。詳しい内容については、直接視聴いただくか、専門メディアの解説を待ちたいところだが、ここでは「北朝鮮モノ」というジャンルの同ドラマについて少し掘り下げてみたい。

ラブロマンスも解禁! 多様化していった北朝鮮モノ

卓球の南北統一チームを描いた『ハナ ~奇跡の46日間~』

 日本でも広く知られている通り、北朝鮮と韓国はその歴史的背景から、世界で最も交わることが難しいとされてきた敵対・分断した国同士である。同じ民族であり国土が接しているにもかかわらずだ。その歴史的な経緯は到底書ききれるものでもなく、ここで詳しく説明することはかなわないが、いずれにせよ両国にとって互いの存在は長らく「タブー」であり続けてきた。90年代までは、たとえフィクションであろうとも、韓国で両国の若者のラブロマンスを描く行為自体、はばかられる社会的雰囲気があった。

 そうしたタブーは、『シュリ』(1999年)、『JSA』(2001年)、『二重スパイ』『シルミド』(03年)、『トンマッコルへようこそ』(05年)など映画作品によって徐々に“溶解”していく。史実をベースにした南北分断モノ、もしくは軍事&スパイアクションなど、シリアスな内容ではあるが、こうした作品がヒットを続けることで北朝鮮をひとつのテーマとして扱う敷居はだいぶ下がり、やがて「カテゴリー」として確立されていった。

 2010年以降は、『高地戦』(12年)など戦争・分断モノが引き続き人気を博す一方で、『ハナ ~奇跡の46日間~』(12年)に代表されるような南北融和をテーマにした映画作品も登場する。『ハナ』は、1991年の第41回世界卓球選手権で史上初めて結成された南北統一チームが、女子団体戦で優勝した実話がベースになった青春スポーツ映画だ。

 時を同じくして、映画だけでなくドラマでも北朝鮮モノがポピュラーになっていく。『IRIS』(09年)、『ロードナンバーワン』(10年)、『キング ~Two Hearts』(12年)、『ドクター異邦人』(14年)、『吹けよ、ミプン』(16年)などがその代表作だ。ドラマの舞台では、戦争&スパイなどの“伝統的テーマ”はもちろん、北朝鮮の天才医師が韓国で活躍する医療モノ、また北朝鮮の特殊部隊出身の女性兵士が韓国の王子と恋に落ちるラブロマンスなど、ストーリーは多様化していった。さらに興味深いのは、北朝鮮モノは、映画にしろドラマにしろB級作品がない。いずれの作品にも韓国を代表するスターたちが出演し、人気を博してきたという事情が共通しているのだ。

 そんな韓国映画・ドラマ界の「北朝鮮モノ」の系譜の中で登場したのが、『愛の不時着』だ。同作はラブロマンスながら、なにより他の作品と比べて「北朝鮮の描写がリアル」という点が評価されている。その理由は、北朝鮮から亡命(=脱北)した人々が作品の考証に直接携わっているからだ。

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