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『魔改造の夜』は世のエンジニアを刺激したか 魔トースターが食パン宙に跳ばし、魔ワンちゃんも超高速移動!

絶えず青春を感じさせる東大、浮かび上がるエンジニアの個性

 やはり、大事なのは科学を扱う人間である。各チームの個性が色濃く出ていたから感動したのだ。トヨタは数ある案の中から信頼できるプランを採用し、実践的な改造を施すのがうまかった。浜野製作所はさすがの設計力、技術力だった。そして、東大の最大の魅力は発想力だったと思う。

 大雑把に言えば、“理想”という縦軸と“現実”という横軸のバランスに気を配る社会人と、愚直に理想を追い求める学生の2者で色分けができる。感情移入したくなるのは、やはり学生の青臭さの方だろう。東大の魔改造からは、絶えず青春を感じた。東大のハンマー投げ式トースターを、浜野製作所の技術力で作ったらどうなっただろう? なんてことも、ふと考えてしまった。

 また、各チームが互いに敬意を払い合う姿も素敵だった。あるチームのマシーンが登場した瞬間、他チームのエンジニアが「そう来たか」と感心する光景。火花を散らしているけども、それでいて不思議な連帯感もある。ものづくりに挑む技術者同士のリスペクトなのだと思う。

 そういえばかつて、同一の課題を技術者に与えて競わせる『超絶 凄ワザ!』という番組がNHKで放送されていた。知的好奇心を刺激する『魔改造の夜』は、『凄ワザ!』の系譜に収まる番組と言える。90年代のフジテレビは深夜帯でたまにこういう番組を制作していたが、今や完全にNHKのお家芸だ。

 だからこそ、『魔改造の夜』も、半年に1回のペースでいいからレギュラー化してほしいと期待が高まるのだ。BSで2週に分けて放送された今回は、恐らくパイロット版だったと思う。そして、今回の放送はSNSで話題になった。世のエンジニアからすると、『魔改造の夜』は刺激になったはずだ。「ウチならもっとできる!」と名乗りを上げるチームが次々に出てきても不思議じゃない。技術者にとって”遊び心”は、そのまま”伸びしろ”と言い換えられるのだから。

 競っていることは「トースター高跳び」「ワンちゃん25m走」とふざけた内容なのに、技術者の機械にかける情熱には純粋に泣けた。是非とも、続編が見たい。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2020/06/29 17:00
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