日刊サイゾー トップ > カルチャー > アニメ・ゲーム  > 『ツイステ』ブームとディズニー

ディズニーがオタクを狙い撃ち! 特大ヒットのスマホゲーム『ツイステ』とウォルト・ディズニーの思想

文=岩見司(いわみ・つかさ)

ウォルト・ディズニー的ではない「ツイステ」の狙い

ディズニーがオタクを狙い撃ち! 特大ヒットのスマホゲーム『ツイステ』とウォルト・ディズニーの思想の画像3
「ファミリーエンターテイメント」を掲げていたウォルトは、このツイステブームに何を思うか……(Getty Imagesより)

中島 ウォルト・ディズニーは「我社の顧客は女性とその家族」とうたい、「ファミリーエンターテイメント(家族全員で楽しめるもの)」をコンセプトとして掲げていました。そのコンセプトのもと、母親が夫や子どもを連れて遊びに来るディズニーランドや、家族全員で観られるミッキー等のキャラクターアニメ映画がつくられてきました。

 ウォルトは1901年生まれで、当時のアメリカは今よりずっと早婚の時代です。女性の社会進出が進む前で、20代で結婚して家庭があるのが普通だった。だからこそ「女性とその家族」が顧客として想定されました。ところが、その後女性の社会進出が進み、婚姻率の低下と離婚率の上昇が起こります。アメリカに限らず、先進国はどこもそうですよね。家族向けの市場が縮小して、お一人様市場が拡大しているわけで、ディズニーもそこを獲得しなけれなりません。

──たしかに『ツイステ』はファミリーエンターテインメントからは遠いですね。

中島 スマホに向かってやり込むイケメンゲームは、完全にお一人様向けですよね。さらにいうと、2011年の東日本大震災で東京ディズニーリゾートは1カ月以上休業したんですね。これは私の推測ですが、そこであらためて、ディズニー社はリスク分散を考えたのではないでしょうか。ディズニーランドがいくら人気があっても、お客さんを入れられないことには収益はゼロです。ロイヤリティも入ってこなくなる。でもゲームなら、いつでもどこでもできますから。

──とはいえ、お一人様市場の拡大自体は今に始まったことではないと思います。ディズニー社としては、以前からそこは狙っていたのでしょうか?

中島 明確な時期は不明ですが、1998年に私がアメリカのディズニーランド(ロサンゼルスの郊外のアナハイム)に行った際にはすでにシングルライダーがありました。シングルライダーは、4人乗りや3人乗りのアトラクションで、ひとり分の空席ができたときに、ひとりで乗るお客さんが優先的に通される仕組みです。アトラクションの回転率の上昇という目的もありますが、カップルや家族前提ではない、一人客でも楽しめるシステムが当時すでにあったことは確かですね。

──家族単位ではない個人の消費に注目すると、日本ではこういう展開になる……ということですね。

中島 ディズニー社は市場調査をものすごくやる会社なので、日本ではこういうゲームにすれば売上が伸びる、と見込んだのでしょう。それにしても時代は変わったなぁ、と思います。

──『ツイステ』のゲーム内には隠れミッキーがあったり、進めていくとミッキーのシルエットが登場したりして、ディズニーの世界観との接続は匂わされています。一方で、キャラクターはディズニーの絵柄からは程遠いですし、従来のディズニーファンの反発もあるようですが……。

中島 あまりに世界観が違いますからね。でも、それすらも狙いかもしれません。そうした形でも話題になれば、「ディズニーがそんなことをやってるんだ」と興味を持つ人が増える可能性がありますから。

──そもそも日本に「イケメンゲーム」というカルチャーが根付いたからこそ、本来のディズニーらしくない試みも成功したのかもしれませんね。

中島 日本市場で『ツイステ』が成功したら、日本の文化が大好きなアジア諸国でも売れる可能性があるなと思います。特に台湾、香港、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシアは日本のポップカルチャーが受けやすいという土壌があります。しかし、欧米まで届くかというとちょっと未知数です。とはいえ、「ゲームアプリでこれだけ儲けが出る」という前例になれば、ディズニー本社にとって新機軸のビジネスになり得るかもしれない。そう考えると、今後の展開も非常に楽しみですね。

岩見司(いわみ・つかさ)

岩見司(いわみ・つかさ)

ライター。芸能を中心にポピュラーカルチャー関連記事を執筆

最終更新:2020/07/17 13:00
12

ディズニーがオタクを狙い撃ち! 特大ヒットのスマホゲーム『ツイステ』とウォルト・ディズニーの思想のページです。日刊サイゾー芸能最新情報のほか、ジャニーズ/AKB48/アイドル/タレント/お笑い芸人のゴシップや芸能界の裏話・噂をお届けします。その他スポーツニュース、サブカルチャーネタ、連載コラムドラマレビューインタビュー中韓など社会系の話題も充実。芸能人のニュースまとめなら日刊サイゾーへ!

ページ上部へ戻る

絶対的満足度の至宝店すべて見る

人気連載すべて見る

元木昌彦の『週刊誌スクープ大賞』

「週刊現代」「FRIDAY」の編集長を歴任した"伝説の編集者"元木昌彦による週刊誌レビュー

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、かく語りき

“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士の最新情報をお届け! 嫁・麗子も時々登場。

テレビウォッチャー・飲用てれびの『テレビ日記』

テレビの気になる発言から、世相を斬る!

じゃまおくんのWEB漫クエスト

マンガレビューブログ管理人じゃまおくんが、インターネットに埋もれる一押しマンガを発掘!

腹筋王子カツオ『サイゾー筋トレ部』

“腹筋インストラクター”腹筋王子カツオさんが、自宅でも簡単にできるエクササイズを紹介!

イチオシ企画

【PR】DYM・水谷佑毅社長の野望とは?

医師免許を持つ、ベンチャー経営者の異色の半生!
写真
特集

問題案件連発でジャニーズ帝国崩壊!?

マッチの不倫や山下智久の退所などが重なり、ジャニーズの根幹がゆらぎ始めている…。
写真
人気連載

黒木瞳、大物実業家のバックアップも実らず

 2016年公開の映画『嫌な女』以来、女優・...…
写真
インタビュー

PANTA「頭脳警察」伝説

「3億円事件」の指名手配写真をジャケット画にしたデビューアルバムは発売中止、セカンド...
写真