日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 産業医と映画Pによる配信作品批評「ネフリんはほりん」  > 【Netflix】意味不明だったスパイク・リーのメッセージ
産業医と映画Pの配信作品批評「ネフリんはほりん」#1(前編)

90年代、スパイク・リーは『マルコムX』のキャップだった! 挫折した人が『ザ・ファイブ・ブラッズ』を見るべきわけ

文=伊丹タン(いたみ・たん)

今ならわかる?『ドゥ・ザ・ライト・シング』のメッセージ

大室 スパイク・リーもタランティーノのように、オマージュを繰り返す側面はあるんだけど、実はただのオタクじゃないし、記号の戯れをしてるわけじゃない。今回の『ザ・ファイブ・ブラッズ』も、スパイク・リーの持つ文脈を知らなくても作品として強度があるし。一連のBLM運動と公開のタイミングも重なったけど、『ドゥ・ザ・ライト・シング』でも白人警官が黒人を絞め殺すシーンがあった(なんというシンクロ率!)ように、一貫して黒人差別を描いてきてるんだよね。

伊丹 オタク的にたくさん引用しているというよりも、その知識を自分の表現の強度を高めて戦うための武器にしてるんですよね。歴史修正主義に抗ったり、自分たちが黒人として不遇の歴史を生きてきてっていうのを描くために、知識の量で勝負してるんですよ。“価値相対主義”(絶対に正しいということは存在しないという主義、主張)みたいなこともベースにあって。人間が見る世界の見方って常に歪むから、それに関してはやっぱり自分たちサイドからも、絶対に正しいということはない、抗ったものを提示しなきゃいけないっていうね。

大室 あと日本だとよく「勝者は歴史を作り、敗者は文学を作る」みたいな“太宰メンタリティ”があるじゃない。これは日本だとある種のナルシシズムとセットになってしまうんですよ。でもスパイク・リーは黒人っていうものに対して、弱者ナルシシズムもないんですよ。

伊丹 カラッとしてますよね。かつ「目を覚ませ!」というか、常にメッセージで視聴者を覚醒させようとする。『ドゥ・ザ・ライト・シング』ってタイトルもそもそも、正しいことをしろよっていうメッセージですからね。

大室 そういう意味では、日本にはなかなか居ない立ち位置かもね。

伊丹 『ザ・ファイブ・ブラッズ』はベトナム戦争っていう誰もが知ってる事象を扱ってて、あの頃スパイク・リーがわからなかった人の入門編としてはいいかもしれないですね。

大室 『マルコムX』で挫折した人ももう一回ね。

後編へ続く

90年代、スパイク・リーは『マルコムX』のキャップだった! 挫折した人が『ザ・ファイブ・ブラッズ』を見るべきわけの画像3

『ザ・ファイブ・ブラッズ』(2020)監督 スパイク・リー
Netflixで独占公開されているスパイク・リーの最新監督作。ベトナム戦争からほぼ半世紀。共に戦った4人の黒人退役軍人が、隊長の亡骸と埋められた金塊を探し出すために戦場へと舞い戻る。

小川でやんす(おがわ・でやんす)

小川でやんす(おがわ・でやんす)

小川賢治。1989年生まれ。放送作家、映像ディレクター、ライター。大学を卒業しフリーで活動、2017年「小川でやんす」に改名。

大室正志(おおむろ・まさし)

1978年生まれ。現在、産業医として日系大手企業、外資系企業、ベンチャー企業、独立行政法人など約30社を担当。

Twitter:@masashiomuro

伊丹タン(いたみ・たん)

1979年生まれ。インディペンデント映画の制作に携わり、現在はフリーランスでテレビドラマ、映画、舞台などのプロデュースをしている。

最終更新:2020/09/12 10:16
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