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『麒麟がくる』先週の放送を総ざらい! 足利義輝(向井理)が引用した百人一首の歌に滲む盛者必衰の哀愁

『麒麟がくる』公式サイトの解説は合っているのか?

『麒麟がくる』先週の放送を総ざらい! 足利義輝(向井理)が引用した百人一首の歌に滲む盛者必衰の哀愁の画像2
『麒麟がくる』公式サイトより

 さてさて、今回も筆者としては見逃せないシーンがありました。お駒ちゃん(門脇麦さん)の丸薬にかなりの商品価値が見いだされたみたいですね。『麒麟~』の世界は、腹痛に悩ませられる人の数がたいへん多いようです(笑)。

 望月東庵先生(堺正章さん)が「7000文=7貫!!」とびっくりしておられましたが、現代の貨幣価値でおいくらくらいなのでしょうか、という問題です。ちなみに『麒麟~』の公式ページでは、1貫=約15万円という数字が出されていましたが、筆者の体感ではかなりお高めに出ているなぁ、というのが本音です。

 明治以前の貨幣価値を推測するために基準となるのは、米の価格です。ただし最初にお断りしておくと、戦国時代は現代の相場とくらべて食品の値段が「高め」、労働賃金は「低め」です。また、米が貨幣の代わりともなる存在だったがゆえに、その価格も「高め」だったということはあります。

 ですから、絶対的な正解というものはないに等しく、当時の貨幣価値にわれわれの実感で迫ることはむずかしいのです。しかし、現代のデフレ日本ではコシヒカリやナナツボシといったブランド米でも、コスパが良ければ10キロ4000円程度で買えたりしますよね。とすると、公式ページに記載されていた数字では米10キロ=8000円以上で「普通」という世界の話になってしまうので、われわれ庶民の生活実感をベースに考えると戦国時代の1貫=約6万円くらいかと。

 戦国時代の市場での米の価格は高かったという声も取り入れると、1貫=約8万円。また、これらとは別に戦国時代中期が1貫=8万円、後期が6万円くらいに下がったという試算もあるので、6~8万円程度で考えたほうが、実感を掴むという点では良いかなぁ……と思います。

 それでもとりあえず7000文=7貫=40~50万円程度というそれなりの額の注文が、お駒ちゃんの丸薬の代価として提示された、ということですね。まぁ、ラッキーでした。盗まれたという東庵先生の家財道具の補填には足りないでしょうけれど。

 ちなみに以前も少しお話しましたが、愛妻家の明智光秀が病気に倒れた煕子のために、神道関係者に祈祷をお願いした時の「成功報酬」が銀1枚(4貫文)でしたので、何百粒も作らないといけないお駒ちゃんのお薬は、伊呂波太夫(尾野真千子さん)のいうように本当に「そんなには高くはない」ようでしたね。ではまた来週。

堀江宏樹(作家/歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。原案監修をつとめるマンガ『La maquilleuse(ラ・マキユーズ)~ヴェルサイユの化粧師~』が無料公開中(KADOKAWA)。ほかの著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『本当は怖い江戸徳川史』(三笠書房)など。最新刊は『隠されていた不都合な世界史』(三笠書房)。

Twitter:@horiehiroki

ほりえひろき

最終更新:2023/02/21 12:09
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