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ルール無用な『THE W』、吉住の“いいコント”とAマッソのレジスタンス

吉住「こんな明るいところにいれる人間じゃないんですよ」

 そんな今回の『THE W』を制し、チャンピオンの栄冠を手にしたのは吉住。彼女もまた、従来からネタに定評があったピン芸人だ。

 彼女が1本目に披露した「女審判」のネタ、2本目の銀行強盗のネタは、いずれも恋愛シーンを軸にしつつ哀愁を漂わせたもの。女性芸人は男性芸人に比べて恋愛をネタにすることが多いと言われるけれど、彼女のコントの設定やそこからの展開には“恋愛ネタ”にとどまらないオリジナリティが宿る。そしてそれを確かな演技力が支え、笑いに変える。1本目のネタが終わったあと、彼女は「いいコントですよね?」と周囲に問いかけていたが、まさに、“なんでもあり”を印象づけた大会で「いいコント」が勝ったという意味でも素敵な展開だった。

「こんな明るいところにいれる人間じゃないんですよ」

 優勝が決まった直後にコメントを求められた吉住は、目に涙を浮かべながら言った。

 さて、『THE W』が他の賞レースと比べ特殊な点のひとつは、優勝者に日本テレビ系の番組への出演権が特典として贈与されることだ。対象となる番組は『有吉の壁』や『行列のできる法律相談所』、『踊る!さんま御殿!!』や『ウチのガヤがすみません!』といったバラエティ番組だけでなく、『スッキリ』や『ZIP!』といった情報番組にまで及ぶ。

 で、吉住は早速、翌朝の『ZIP!』に出演。ネタを披露した後のトークでは、賞金1000万円を狙いにくる先輩の存在を明かした。

「結構芸人から…ちょっとあんまりアレかもしれないですけど、お金を貸してほしいという…」

 続いて出演した『スッキリ』でも、次のように語る。

「人力舎の先輩の岡野陽一さんっていうめちゃめちゃ借金してる先輩がいるんですけど、あの人から借金させてくれっていう。私のことをもう『債権者様』って呼んでる」

 さらに、岡野からは借金とは別に3万5000円がほしいと言われているらしい。太陽が高くなるにつれて、「借金をしにくる先輩」の情報が少しずつつまびらかになっていくのがおかしかった。

 ところで、『THE W』のネタ前のVTRでは、自身でも「ポップさはないねぇ」と語っていた吉住。心休まるのはマンション管理人のバイトをしているときで、人と関わらなくて済むから、らしい。

 そんな彼女が、日テレの番組にこれから次々と出演し「明るいところ」に連れ出される。一体どんなことになるのか。なんだかもうすでに面白い。いや、こんなわかりやすいキャラクター設定は、すでにある程度は日本テレビの演出なのかもしれないけれど――。

 あと、『ZIP!』や『スッキリ』に出ていた吉住はVTRを見るときだけ眼鏡をかけていた。高木美帆、中山エミリ、北川景子、芦田愛菜と続いてきた系譜を引き継ぐことになるのか、個人的には注目したい。

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