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CVC東芝買収断念で日本の安全保障が救われた!? 海外投資家の草刈り場になった日本を示した“東芝劇場”

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 東芝は4月20日、買収の提案を受けていた英投資ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ」(CVC)から「検討を中断する」との書面を受け取ったことを発表した。関係者によると、CVCから敵対的な買収は行わないとの意向も東芝側に伝えられており、買収提案を事実上撤回した。

 4月7日にCVCによる東芝買収計画の全容がマスコミに流れてから、社長交代劇にまで至った今回の“東芝劇場”。最終的に買収計画が流れたことを自衛隊の制服組幹部は「日本の安全保障がぎりぎりのところで救われた」と喜ぶ。

 東芝は原子力関連事業だけでなく、防衛産業にも深く関わっている。国家安全保障保護の観点からも重要な「コア業種」に位置づけられている。

 2020年5月から一部適用、翌6月から施行されている改正外為法は、外国人投資家が東芝のような国家安全保障上、重要な企業に出資する場合について、様々な厳しい審査基準を設けた。事前審査の基準も従来の持ち株比率で「10%以上」から「1%以上」と更に厳しくなっている。

 陸上自衛隊幹部の1人によると、「東芝の持つミサイルのシーカー(ミサイルを誘導する自律式の誘導装置)の技術は世界的レベルで、ステルス多用途戦闘機のF35の共同開発でも、数マイル先の状況を驚くべき鮮明さで表示する世界最高のセンサー技術を提供している」という。同幹部は、「今回は流れたが、一番心配だったのは、大切な技術が中国側に流れる危険性だった」と胸の内を明かした。

東芝のトラウマ 東芝機械ココム違反事件

 東芝自体、軍事技術の流出では過去に煮え湯を飲まされている。1987年に起き日米の政治問題にまで発展した「東芝機械ココム違反事件」だ。

 東芝の子会社・東芝機械は、ソ連に原子力潜水艦のスクリューの表面を削る工作機械を輸出していた。この機械を使い、ソ連は潜水艦のスクリュー音を小さくすることに成功したが、米国はソ連の潜水艦技術が著しく進歩し、自国の海軍が危険に晒されることになった状況を問題視した。

 当時、日米を始めとする自由主義諸国の間にはココム(対共産圏輸出統制委員会)による国際的な取り決めがあった。ソ連を筆頭とする共産圏への武器輸出を禁じてはいたが、ココムは条約ではない紳士協定、拘束力はない筈だった。

 しかし米国は、東芝機械がココム違反をしていると糾弾した。米議会の「アメリカの安全保障を危機に晒した」とする怒りは収まらず、東芝のみならず日本を狙い撃ちにした包括貿易法案の審議が一挙に進み、上下両院でそれぞれ可決された。東芝機械の製品だけでなく、東芝本体を含む東芝グループ全社の製品が輸入禁止となるなどの事態に陥り、親会社である東芝の会長と社長が辞任する事態にまで発展した。

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