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『チコちゃんに叱られる!』、『トリビアの泉』とテーマ被りも、本家を上回る検証VTRが感慨深い

『トリビアの泉』と同テーマを扱うも、進んでいた研究の成果

 この日最後のテーマは「なんでフィギュアスケートの選手は目が回らないの?」という疑問。そういえば、ダウンタウンの浜田雅功はいくら回転しても目が回らないことで有名だ。東野と木村(チコちゃん)がいるので、思わず浜田の顔が頭に浮かんでしまった。まず番組は、選手の証言を得るべく元フィギュアスケート選手、村上佳菜子のところへ取材に行く。

「私は目が回らないわけじゃないと思ってます。三半規管でしたっけ? そのトレーニングだと思っています。三半規管は……何ですか(笑)?」

 なんと、選手だった彼女も理由はよくわからないようだ。チコちゃんが発表した答えは「脳から目が回らない物質が出るから」だった。

 詳しく教えてくれるのは、JCHO東京新宿メディカルセンターの石井正則先生。曰く、フィギアスケートの選手が目が回らないのは本当に目が回っていないからだそう。目が回るとは、回転することで真っすぐに立っているつもりでも視界が上下左右に揺れ、立っていられなくなる状態のことを指す。目が回った状態が起こるのは、実際に目が揺れて動いていることが原因だ。回転し続けると目は左右に小刻みに揺れる。本人の意思に関係なく目が勝手に動くこの現象を「眼振(がんしん)」と呼ぶ。試しに番組ディレクターが回転する椅子で回り、その直後に彼の目を確認してみると、確かに目は小刻みに揺れていた。これって、いわゆるカメラの手ぶれ補正にあたるのでは? やっぱり、人間の体って凄い!

 では、なぜ回転すると目が揺れるのか? 人間の体には、色々な姿勢や動作の最中でもふらついたり転ばないようにバランスを保つ三半規管が耳の中にある。そして、三半規管の中にはワカメのようにユラユラ揺れるたくさんの有毛細胞という組織がある。この毛の傾きが目を回る感じを起こさせる重要な働きをしているのだ。体が回転するとその勢いで三半規管の中にある有毛細胞が傾き、有毛細胞から脳へ「体が回転しているぞ!」という信号が送られる。そして、脳は「回転する動きに付いていくように!」という指令を目に送るのだ。回転中の目の動きを見ると、目を小刻みに揺らしながら回転する動きに付いていこうとしている。眼振は視界を安定させるために必要な動きなのだ。

 でも、長い間体が回転し続け、急にピタッと止まっても三半規管の動きは急には止まらない。それどころか、今までの勢いで逆方向へ傾いてしまう。これは、電車やバスが急に止まると「おっとと!」と体が動いてしまうのと同じだ。体の回転を止めると、三半規管の有毛細胞は反動で急ブレーキがかかったように逆方向へ傾いてしまう。そのため、脳から指令が出続けて目が揺れてしまうのだ。つまり、これが目が回っている状態である。

 では、なぜフィギアスケートの選手は目が回らないのか? それは、選手はスピンの練習を繰り返すことでGABA(ギャバ)という物質を脳から出すから。GABAとは、チョコレートによく含まれるアレである。GABAは興奮した神経を抑える働きがあり、脳に分泌されると「体が回転している」という三半規管からの信号をブロックする。つまり、フィギアスケートの選手はスピンの練習を繰り返し行うことで脳からGABAが出るようになり、目が回らなくなるのだ。なるほど……。この番組の放送後、コンビニでチョコの売り切れが続出しないだろうか? というか、浜田雅功は普段からグルグル回っているのか?

ディレクター 「回る練習をすれば目が回らなくなるんですかね?」
石井先生   「そうですね。理論的には、練習すればできるようになると思います」

 早速、練習を開始するディレクター。仕事の合間を縫い、回転椅子で1週間クルクルし続けた。果たして特訓の成果は出たのだろうか? そして迎えた本番の日。椅子に座って30秒回転し、その直後に平均台の上を歩いてみると……失敗! 平均台の上からいとも簡単に落下してしまった。練習したのになぜ!?

「あの後、フィギアスケートのコーチに聞いたんですけども、大体2000回転とか3000回転くらい回らないとダメみたいですね。3カ月から半年くらいはかかるそうですよ」(石井先生)

 ということで、今度はこれを村上に挑戦してもらうことに。イスに座って30秒回転し、その後に平均台を歩いてもらうと……さすがプロのフィギアスケーターである。見事、成功!

「スケーター、ナメてます(笑)?」(村上)

 いやあ、大したもんだ。スケートのときと同じ左回転ならGABAが出るので、彼女の目は回らない。では、右に回転するとどうなるのだろう? ということで、今度は逆回転バージョンに挑戦する村上。すると、今度は目が回って平均台から落ちてしまった。フィギアスケートは基本的にリンクを左回りで滑走するため、遠心力を使って左回転の技をする選手がほとんど。右回転は練習していないため、GABAは出ないのである。

「ルールで反対回り(右回転)のスピンをすると1個レベルが上がるんです。それぐらい反対回りで回るって難しいことなんですね。宮原知子ちゃんとかは元々左利きだったりするから、人前に出れるくらいの右回転を持ってるんで」(村上)

 右回転もできる選手は国内では宮原知子選手など、ごく一部。左右どちらに回転してもGABAが出て目が回らないそうだ。宮原選手ならこの平均台を渡れたのだろう。

 実はかつて、『トリビアの泉』(フジテレビ系)でも似た実験を行っている。あのときは安藤美姫が10分近く回ったものの、結果的に彼女は目が全く回らなかった。でも、『トリビア』では右回転の検証は行っていない。そして、『チコちゃん』では行った。当時と比べ、三半規管とGABAの研究が進んだ証か? 視聴者の立場で勝手に感慨深くなってしまった。

 さて、今夜放送の同番組は72分拡大版。題して「チコちゃんにトットちゃんがやってきたスペシャル!」である。ゲストは黒柳徹子とディーン・フジオカだ。スペシャル恒例「チコの部屋」では、チコちゃんと徹子が1対1のスペシャルトークを行うとのこと。今日は「徹子の部屋」から「チコちゃんの部屋」に徹子がやって来るのだ。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/04/30 20:00
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