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“カタログ燃費”にサヨナラ? 「燃費記録装置義務化」を唱える国交省の真の狙い

文=藤井利男(ふじい・としお)
カタログ燃費にサヨナラ? 「燃費記録装置義務化」を唱える国交省の真の狙いの画像1
Getty Imagesより

 車を選ぶ際、価格、デザイン、安全性能などとともに重要なのが「燃費」。ガソリン1リットルは現在150円前後だが、同じ1リットルでも、車によって2~3kmしか走れないものもあれば、20km以上走れるものもあるのだから、これを軽視できるはずがない。ただ、「1kmあたり○○km」とカタログに書かれていても、実際にはそんなに走れないことは広く知られている。

「メーカーの燃費の測り方は、ローラーの上に車を載せ、エンジンをかけてタイヤを回したデータを掲載します。規定はかなり細かく定められており、加速や減速、停止などを繰り返しますが、実際に街を走るより数値は良くなる。だいたい2~3割は実燃費より良い数字になると言われています」(カー雑誌記者)

 これを国土交通省が問題視した。6月4日付けの朝日新聞が、「燃費記録装置 義務化へ」という記事を一面トップに掲載。カタログ燃費と実燃費とのずれを修正するため、測定装置を義務化するというのだ。実際に車を買ったら、カタログより燃費が遥かに悪いことを不満に思うユーザーは多い。現場の人間の悩みのタネでもある。

「車を買ったお客さんから、燃費について文句を言われることは多いです。『商談では燃費が良いと言われたのに、実際に乗ったらそんなに良くない』といったもの。『カタログと数字が全然違う』というクレームも当然あります。口が裂けても『運転が荒いのでは?』とは言えないので、丁重に謝りつつ、『カタログの数値というのは……』と説明することになりますが、ファミリーカーの場合、燃費はとても重要なので、セールストークで燃費の話題は欠かせません。これをきっかけに、カタログ燃費と実燃費が近づくのは良いことだと思います」(ディーラー関係者)

 記事では、「カタログ上の燃費を良くみせようというメーカーによる不正の舞台になり…」「実燃費とのずれを指摘する声が高まっていた」と記されており、この決定はユーザーに利するもののように思われる。ただ、これを額面通りに受け取るのは危険だ。

「まず、記録装置を付けるのにメーカーは費用がかかるわけで、それは当然車体価格に反映されます。そして本命は、走行税導入でしょう。自動車にはありとあらゆる税金がかかりますが、近年問題となっているのが『ガソリン税』。ガソリンには1リットルあたり50円以上も税金が掛かっていますが、電気自動車にはこれがかからないので不公平感があり、電気自動車が増えれば税収も減る。そこで飛び出した案が、走行距離ごとに税金を掛けるやり方です。

 ただ、電気自動車からの“取りはぐれ”をなくしたいのなら、全車に燃費記録装置を付ける必要はない。しかし実際には、全車に記録装置を付けるよう求める見込みで、ガソリン車はさらなる増税を求められることになります。議論はこれからですが、ガソリン税の税収は莫大なので、何らかの代わりが必要なのは事実。それを払うのは間違いなく車ユーザーでしょう。その布石が記録装置の設置義務化です」(週刊誌産業部記者)

 これが実現すれば、ただでさえ“車離れ”が叫ばれているのに、その流れがますます加速するのは火を見るよりも明らか。高度経済成長期やバブルを経て、「一家に一台」「ひとり一台」となった車は、近い将来再び「庶民の憧れの品」になりそうだ。

藤井利男:1973年生まれ、東京都出身。大学卒業後に週刊誌編集、ネットニュース編集に携わった後、独立。フリーランスのジャーナリストとして、殺人、未解決事件、死刑囚、刑務所、少年院、自殺、貧困、差別、依存症といったテーマに取り組み続けてきた。趣味はダークツーリズム。

藤井利男(ふじい・としお)

藤井利男(ふじい・としお)

1973年生まれ、東京都出身。大学卒業後に週刊誌編集、ネットニュース編集に携わった後、独立。フリーランスのジャーナリストとして、殺人、未解決事件、死刑囚、刑務所、少年院、自殺、貧困、差別、依存症といったテーマに取り組み続けてきた。趣味はダークツーリズム。

最終更新:2021/06/09 07:00

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