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中台同性カップルが結婚へ ネット上では美談として讃えられるも…中国政府は沈黙を貫く

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同性婚を勝ち取った今回の2人(リンゴ日報)

 2017年に同性婚を認めないことは違憲であるとの判決が下り、19年5月に同性婚が法的に認められることとなった台湾。同性婚合法化から1年で3500組以上のカップルが結ばれたが、国境を越えた複雑な問題にも直面している。

 香港東網(6月4日付け)が、中国・マカオ特別行政区出身の男性と台湾人男性のカップルの婚姻について報じている。ともに台湾で生活を営んでいたという2人が、同性婚が合法化されたことを受け、19年10月に婚姻届を提出しようとしたところ、行政は婚姻届を受理しなかったというのだ。

 台湾の同性婚に関する法律では、国籍が異なる相手との同性婚の場合、その相手の国でも同性婚が法的に認められていることを条件にしている。行政側は、マカオで同性婚が認められていないこと、そしてマカオ籍男性の独身証明書の有効期限が切れていたことを根拠に受理しなかった。

 2人はその後、婚姻を認めるよう行政訴訟を起こし、今年5月6日、台北高等行政法院(裁判所に相当)は、婚姻届や戸籍管理を行う戸政事務所に対し、2人の婚姻を認めることを命じる判決を下した。行政法院は判決の根拠として、マカオ籍の男性はすでに台湾で事業を行い、台湾を拠点に生活していることから、常居所が台湾であることを認め、2人の婚姻には台湾の国内法が適用されると判断したのだ。台湾の裁判所が国際同性婚に関して婚姻届の受理を命じる判決を下したのはこれが初めてだった。

 しかし今回の出来事は、同性婚自体に否定的な中国ではほとんど報じられることはなかったという。中国国内にはLGBT(性的少数者)人口が7000万人以上存在していると考えられているが、中国政府はこうした人々の権利向上に積極的な動きは一切見せていない。

 2001年まで同性愛を「精神障害」と規定していた中国では、つい最近も大学の教科書で「同性愛は精神障害」とする記述が裁判沙汰となるも、裁判所が「誤りはない」との判決を下したことが記憶に新しい。事実上、自国民が台湾で同性婚を実現した今回の報道は、今後、中国政府も無視することのできないものになるかもしれない。

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同性婚を勝ち取った今回の2人(リンゴ日報)

廣瀬大介(ひろせ・だいすけ)

明治大学卒業後、中国の重慶大学へ留学。メディア論を学び、帰国後は中国の社会問題についてウェブメディアを中心に執筆している。

ひろせだいすけ

最終更新:2021/06/29 22:00
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