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「五輪中止」を訴える朝日新聞 スポンサーは継続、高校野球はOKの支離滅裂

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Getty Imagesより

 部数低下に喘ぐ朝日新聞が、東京五輪報道でいよいよ袋小路に入っている。社説では五輪中止を訴えたものの、オフィシャルスポンサーは継続。紙面や投稿欄では五輪中止を求める声を盛んに取り上げながら、自社が主催する高校野球に関しては「開催OK」との立場を貫き、新聞の生命線とも言える紙面の信頼性が揺るぎ始めている。

 五輪開催問題について朝日新聞が明確に意思を示したのが、5月26日付の朝刊の社説だ。朝日は「夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める」と題し、「中止はむろん避けたい」と断った上で、「誰もが安全・安心を確信できる状況にはほど遠い」と述べ、中止を求めた。

「世論調査で国民の半数前後が五輪開催中止を求めており、影響力が極めて大きい大手新聞がハッキリと中止を求めた意義は大きい。ただ、整合性を欠くのは、朝日新聞が五輪のスポンサーだということです。

 これについて朝日は、『オフィシャルパートナーとしての活動と言論機関としての報道は一線を画します』『社説などの言論は常に是々非々の立場を貫いています』との見解を示しましたが、大会はスポンサーがあってこそ成立するもの。『金は出すが、開催は反対』という態度は、友情や連帯を謳う五輪の精神とは到底相容れず、先人たちが積み上げてきた崇高な理想を踏みにじるものです」(スポーツジャーナリスト)

 7月8日の時点で、開催地・東京のコロナの感染状況は再び悪化しており、4回目の緊急事態宣言の発出が確実な情勢となっている。この状況下で五輪中止を訴えるのは、客観的に見ても冷静な指摘だが、朝日のダブルスタンダードは止まらない。社説で五輪中止を訴えたことで、ニュースサイト『NEWSポストセブン』から全国高校野球選手権の開催の可否について問われると、

「東京オリンピック・パラリンピックと全国高等学校野球選手権大会では、外国からの選手や関係者、報道陣の流入の有無や、開催に伴う国内の医療機関、医療関係者への負担の大きさといった点で、事情が異なっていると考えています」(『NEWSポストセブン』より)

 と、「高校野球はOK」との見解を示した。五輪は世界規模の大会だが、夏の甲子園の規模も相当なものだ。

「夏の甲子園の予選出場校は4000校弱。全国の高校の野球部員の数は10万人を大きく上回りますが、若年層へのワクチン接種は“これから”という段階です。一方で、五輪の出場選手や関係者に対しては、ワクチン接種やPCR検査など、しっかりとコロナ対策が準備されている。甲子園に客を入れるかどうかは微妙な情勢ですが、代表校に選ばれた学校は県をまたいで甲子園に集い、“密”も避けられないわけで、『五輪はNG、甲子園はOK』というのは、いかにも強引です。

 東京都内でも、プロ野球やJリーグなどはとっくに観客を入れている。新国立競技場の真横にある神宮球場でも、1万5000人近くの客を入れて試合をやっています。五輪に対し無観客を訴えるならともかく、開催中止まで求めるぐらいなら、あらゆる興行についても中止や無観客を訴えるべきでしょう」(フリーのスポーツ記者)

 それでも朝日は、自らの筆が滑るのを改めるどころか、「正気か?」と尋ねたくなるような文言を紙面に掲載している。それが夕刊のコラム「素粒子」だ。「素粒子」は、夕刊1面に掲載される社会風刺コラム。短い文章で世相を斬るコーナーだが、ここ数日、“自爆”としか思えない文章が掲載されている。週刊誌の編集者はいう。

「政権批判などを取り扱うことが多い『素粒子』ですが、ここ1週間ほど、五輪批判のトーンが一気に高まっています。ただ、問題なのは、その内容が“ブーメラン”なこと。例えば3日には、『一般客はゼロでも、大会関係者とスポンサー席からは大歓声が』と、綴り、6日も『スポンサー枠も無くしたら』と、再びスポンサーに言及。自分の会社もスポンサーだということを忘れてしまったのでしょうか。さらに7日には、『生中継に気が重くなる。オンライン壮行会』と、何ら責任のない選手たちを当てこすりました。最近、編集部では、朝日の夕刊を回し読みするのが流行っています。ツッコミどころだらけですから。

 そもそも朝日は大手紙の中でも部数減が顕著で、先日の決算発表でも400億円超の赤字を発表しました。そんな中、国民が五輪開催に反対していることを察知し、これ幸いと飛びついたのでしょう。けれども五輪開催はもう決定的。いざ始まったら、今までのことなど忘れたように、五輪記事の大洪水になるでしょうね。本番が始まっても、『今からでも止めるべき』と訴え続ければ大したものですが」(週刊誌編集者)

 五輪開催まではもうあと2週間。朝日が五輪をどう報じるか、これは見ものになりそうだ。

藤井利男(ライター)

1973年生まれ、東京都出身。大学卒業後に週刊誌編集、ネットニュース編集に携わった後、独立。フリーランスのジャーナリストとして、殺人、未解決事件、死刑囚、刑務所、少年院、自殺、貧困、差別、依存症といったテーマに取り組み続けてきた。趣味はダークツーリズム。

ふじいとしお

最終更新:2021/07/08 18:00
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