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土石流災害の熱海、捜索活動続行でも…観光地のジレンマ

文=藤井利男(ふじい・としお)

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Getty Imagesより

 静岡県熱海市で発生した土石流災害は発生から10日以上が経過したが、依然行方不明者は十数人に上り、捜索活動は困難を極めている。災害発生の要因として、山の上部にあった「盛り土」が話題になるなど、このニュースに対する関心度は高いままだが、現地は複雑な思いが交錯しているという。

 7月3日に熱海市伊豆山で発生した土石流災害は、週末の昼間を襲った。前々日から間断なく雨が降り続き、降水量が観測史上最多記録を更新する地区もある状況の中、大規模な土石流が発生。ツイッターで捉えられた被害の様子は各局のニュース番組で報じられた。

「現場は熱海駅から1kmほど離れた山あいの地域で、国道135号線、JR東海道線、東海道新幹線が狭い場所をひしめき合うように通る場所です。災害が発生した場所は、新幹線の線路のすぐ脇ですが、新幹線は高架を走っているため被害を免れました。現在、現場付近を通過する際は徐行運転しており、警察や自衛隊などが必死の捜索活動を行っている様子が車窓から望めるため、乗客が手を合わせたり黙祷する様子が見られます」(東海道新幹線を頻繁に利用するフリー記者)

 12日には、自宅が被害に遭った一部の住民の一時帰宅が叶ったが、変わり果てた光景にため息をつく様子が見られた。同日には菅首相も現場を視察。国からの補助金額にも影響する激甚災害指定の要望について、「それに匹敵するような対応をしたい」と述べたが、熱海は全国に名だたる観光地だけに、地元住民には別の思惑もあるという。地元観光事情に詳しいトラベルライターはいう。

「もともと熱海は平地がほとんどなく、土砂災害の危険性は指摘されていた。土砂災害のハザードマップを見ると、何らかの警戒地域に指定されている区域だらけですが、“観光客や移住者が減る”という理由から、声を大にして危険性を説くことは憚られてきました。

 そもそも熱海はコロナで深刻な影響を受けています。2020年度の宿泊客数は前年度から半減。ようやく待望のワクチン接種が進み、客足が戻りつつあったタイミングだけに、土砂災害の報道が続いて“危なそうな場所”というイメージがつくことだけは避けたいのが本音でしょう。実際、熱海の駅前や市街地は目立った被害はありませんでしたが、地元のホテルには『今、旅行に行っても大丈夫なのか?』といった問い合わせも来ているようで、心密かに災害報道が沈静化することを願っている観光関係者は多いはずです」(トラベルライター)

 ただ、“盛り土問題”は根が深く、報道も長引きそうな雲行きである。責任の所在が明らかになるまで、地元観光関係者の不安が収まる日はもう少し先になりそうだ。

藤井利男(ふじい・としお)

藤井利男(ふじい・としお)

1973年生まれ、東京都出身。大学卒業後に週刊誌編集、ネットニュース編集に携わった後、独立。フリーランスのジャーナリストとして、殺人、未解決事件、死刑囚、刑務所、少年院、自殺、貧困、差別、依存症といったテーマに取り組み続けてきた。趣味はダークツーリズム。

最終更新:2021/07/14 06:00

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