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組織に人生を賭けた元ヒットマンの嘆き「いちばん後悔しているのは…」【2021年のヤクザたち】

文=佐々木拓朗(ささき・たくろう)

写真はイメージ

2011年、暴力団排除条例が全国で最後となる東京都でも施行され、早くもそれから10年が経った。この間、ヤクザたちはどう変わっていったのか。そして、変わらざるをえなかったのか。そんな現代ヤクザの実像を取材し続けてきたがライターの佐々木拓朗が近々その成果を一冊にまとめるというが、それに先立ち、特に印象に残ったヤクザや元ヤクザたちの姿を報告してもらった。今回登場するのは、20数年前、抗争の最中、ヒットマンとしてジギリをかけ(体を張り)、相手組織の幹部を銃撃したことで長期服役をした元ヤクザ。大きな功績を胸に刑務所に入るも、出所後の彼に待っていたものとは――。

ヒットマンはなぜ、拳銃を握り、罪を犯して、刑務所に行ったのか

 「昔は組のためにジギリかけても、15、16年で帰ってこれたけど、(厳罰化が進んだ)今はまず生きてシャバの土を再び踏むのは無理や。それだけに行くほうも帰ってこんつもりで行かなならん。ただな……」

 男はいったん、ここで言葉を止めると手に持っていたタバコをゆっくり吸い込み、吐き出して再び言葉を続けた。

 「ただな、もし生きて帰ってこれたら報われるか言うたら、そうやない。大概、使いもんにならへん。ワシがええ例や。周りの、ジギリかけて長期服役を余儀なくさせられた者らも大抵、似たり寄ったりとちゃうか……」

 目の前の男には哀愁すら漂っている。男はもうじき還暦に手が届く年齢だ。今から約20年前に組織のために抗争事件にジギリをかけ、10数年の服役後、社会復帰。現在はヤクザ渡世から身を洗い、生活保護を受けて、団地にひっそりと1人で暮らしているという。

 「まさか懲役に務めてるときに、こんな未来が待ってるなんて想像もしてへんかったわ。出たら、生活や銭に困ることなんてあらへんて考えてなんだ。そもそもや、こんな未来が待ってるなんてわかっとったら、間違ってもジギリなんてかけんわな」

 その口調はまるで人生を達観しているようにも、諦めているようにも感じられた。

 「報酬はワシの場合、2000万や。だいたいこれが相場やでな。あとは本人の甲斐性やろな。務めてるときに、肩書きも上がり、組ごとで来てる言うことで、中の暮らしでもちやほやしてくれ、刑務所生活もやりやすかった。15年の懲役で若い衆や舎弟もようさん拾ったで。ワシが工場もしめとったしな。中で拾った若い衆を引き連れて出たら、事務所を構えて一気にのしあがったろうってシャバの夢も膨らんでたわ」

 だが、出所後の現実は男が考えているほど、甘いものではなかった。

 「結局、何十人と縁をやって拾ったけれど、誰ひとりシャバで使いもんになるもんはいてへんかった。ワシが工場をまとめ上げとったから、とりあえずのワシの舎弟になってれば、中での暮らしが安泰や。ただそれ目的でワシの若いもんになったような連中ばっかりやったんや。ワシに見る目がなかった言うたらそれまでやけど、他も大抵そんなもんやで」

 それでも男の帰りを社会で待っていた組は、それなりの労いをかけてくれた。

 「中におるときに執行部入りしとったから、出所と同時に最高幹部や。組員を本部から数人つけてくれて、組名乗りもさせてもうた。中で膨らませてた妄想と比べるとえらいこじんまりしたもんやけど、それでもジギリかけて報われたわけや。放免として2000万の銭ももうたしな。出所やって半年間は当番や会費も免除やったし、また抗争起こったら、一番にいったろうなんて、本気でそんなバカなことを考えとったわ」

 しかし日を追うごとに、男は現実をまざまざと知らされることなる。

 「まずシノギがあらへん。ただでさえ周りも不景気な上に、長い懲役で社会のスピードについていけずボケてもうとるやろ。ヤクザは勘違いされるけど、もともと個人事業主の集合体や。組からシノギなんて当てがわられたりすることはまずあらへん。全部、己の食い扶持は己で開拓していかなあかんねん。そりゃ中で時が止まってもうとる者より、シャバにおるヤツのほうが強いのは当たり前やわな。新しいシノギなんか開拓できるわけがあらへん。あっと言う間に出所から半年が過ぎて、組に会費も納めなならんようになった。肩書きも上がってもうとるから、組に納める会費も高いわな。次第に放免の銭も薄なってきて、その頃には、抗争なったら一番にいったろという気もさらさらのうなっとったわ」

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