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BTSも歌にした世界中で探される『52ヘルツのクジラ』 孤独を抱える現代人によりそいクリエイターが共感

小説、映画、ヒップポップの題材にされる「52ヘルツ」

 このクジラがほかとは異なる周波数で発声しているとしたら、ほかのクジラには聞こえないのではないか? 仲間のクジラに声を届けられないこのクジラはただ、海中の暗闇の中で声を出しているだけなのだろうか?

 クジラはいつの間にか、孤独や生きることに息苦しさを覚える人々に対してのある種の救いを提供するようになった。ある映画監督は作品づくりに行き詰まると、町田さんの小説の主人公、“三島貴瑚”同様にクジラの声の録音を聞いて心を落ち着かせたという。

 韓国の人気ヒップホップグループ、BTS(防弾少年団)は、52ヘルツを題材に、「Whalien 52」を2015年リリースした。

「僕はクジラ。一人寂しい孤独なクジラ。こうやってひとり歌を歌う。孤島のような僕も明るく輝けるかな」。この歌詞に、孤独感に苛まされる若者たちが聴き入り大ヒットした。

 先月16日からはドキュメンタリー映画「The Loneliest Whale: The Search for 52(最も孤独なクジラ:52を求めて)」が米国でデジタル配信され始めた。

 監督のジョシュア・ゼマンは“52ヘルツのクジラ”そのものだけでなく、クジラの追跡に取り憑かれた人々の様子も描くようにしたという。

 日本では小説、米国ではドキュメンタリー映画、そして、韓国ではヒップポップの曲。世界で一頭だけの孤独なクジラの魅力は尽きない。

本田路晴(ジャーナリスト)

連邦海外腐敗行為防止法 (FCPA) に関する調査、ホワイトカラー犯罪の訴訟における証拠収集やアセットトレーシングなどの調査・分析を手掛ける米調査会社の日本代表を経て現在は独立系コンサルタント。新聞社特派員として1997年8月から2002年7月までカンボジア・プノンペンとインドネシア・ジャカルタに駐在。その後もラオス、シンガポール、ベトナムで暮らす。東南アジア滞在歴は足掛け10年。

ほんだみちはる

最終更新:2021/08/15 06:00
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