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BTSも歌にした世界中で探される『52ヘルツのクジラ』 孤独を抱える現代人によりそいクリエイターが共感

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『52ヘルツのクジラたち』中央公論新社 公式サイトより

 作家の町田そのこさんが今年4月に“2021年本屋大賞”を受賞したことですっかり話題となった『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)。

 そのタイトルとなった“52ヘルツのクジラ”は実在するクジラだ。ほかのクジラが聞き取れない52ヘルツという高い周波数で鳴くため、仲間のクジラに声が聞き届けられることはなく、“世界でいちばん孤独なクジラ”とこれまで言われてきた。町田さんは児童虐待という重いテーマの小説のタイトルに、この孤独なクジラの名前を用いた。

 しかし、この孤独なクジラに関心を示したのは町田さんだけでなく、欧米の科学者らは30年以上にわたり、この”52ヘルツ”を追い続けてきた。

冷戦時代の米ソ対立で存在が明らかになった「52ヘルツ」

 英紙「ガーディアン」電子版の7月13日付の記事によると、この52ヘルツを追い求める物語は、冷戦時代に米海軍がソ連の潜水艦を探すため、海底にハイドロフォン(水中で使用されるマイクロフォン)のネットワークを構築したことが発端になっている。海中で拾われる音の中には未知のモンスター、悪女を意味するイザベルから名前を取り、イザベル・モンスター(Jezebel Monster)と呼ばれたものもいたが、後にこの正体不明の音はシロナガスクジラやナガスクジラの深いうなり声であることが判明した。

 冷戦が1980年代末に終焉すると、米国防省はこのハイドロフォンのネットワークを鯨類研究者も利用できるようにした、その中の一人、米・ウッズホール海洋研究所のウィリアム・ワトキンスは、鳴き声による海洋哺乳類の識別と追跡の先駆者だった。

 米海軍が残したこのネットワークを使い、ワトキンスはほかの鳴き声とは際立って異なる一つの鳴き声に気づく。シロナガスクジラとナガスクジラの鳴き声の特長を持ってはいたが、これらのクジラが主に15~30ヘルツで発声しているのに対し、このクジラは52ヘルツで発声していた。

 ワトキンスはその後、10年以上にわたり、この52ヘルツのクジラの行方を追う。2004年に同氏が、米国防総省が導入している水中音響システムが個々の鯨の追跡に利用できる可能性についての論文を発表した。この論文が主要メディアに一たび紹介されると、この正体不明の“52ヘルツのクジラ”も一層、人々の関心と想像力を掻き立てるようになった。

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