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東京がカブールになる日…米軍アフガン撤退、日本も対岸の火事ではない!?

東京がカブールになる日…米軍アフガン撤退、日本も対岸の火事ではない!?の画像1 アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバンが8月15日、首都カブールを制圧し、全土掌握を宣言した。首都陥落は予想外の出来事だったようで、カブールの国際空港には国外に脱外しようとする市民が押しかけ、混乱状態になった。

 この有様を見て、私には1つの情景が浮かんだ。1975年4月、ベトナム戦争終結時の南ベトナムの首都・サイゴンの光景である。

 1983年生まれの筆者はリアルタイムでその映像を見ていたわけではないが『映像の世紀』、『市民の20世紀』などのドキュメンタリー番組で、中学生の時から繰り返し、サイゴン陥落の映像は見ていた。

 それは、サイゴンが陥落すれば、米国への協力者として、北ベトナム軍から危害を加えられると恐れたベトナム人が米国大使館に詰め掛ける光景であった。

 また、サイゴンの空港では、飛び立つ飛行機に必死にしがみつくベトナム人の姿も見られた。しかし、これ以上は乗せまいと、いかつい米国人がピストルを持ち、そのベトナム人男性を脅す。それでも、しがみつくベトナム人。首都陥落の悲劇が、それらの映像によって私には刻み込まれていた。よって、今回のアフガンの首都カブールの陥落の情景を見て、既視感にとらわれたのである。

 アフガンの混迷を受けて、米国のバイデン大統領は、アフガン政府の崩壊が「想定より早かった」「私は米国の終わりなき戦争に終止符を打つ決断を後悔していない」「アメリカ軍はアフガニスタン軍が戦う意思がない戦争で戦うべきではない」などの声明を発している。

「想定より早かった」ということは、遅かれ早かれ、いつかは崩壊すると理解していたということである。米情報機関によると、アフガン政府は、米軍撤退後「半年から1年で崩壊する可能性がある」としていたが、予想を遥かに上回るスピードであった。

 なぜ、タリバンは凄まじい勢いで政権を奪うことができたのか。最近のアフガン関連年表を見てみると、その要因が浮かびあがってくる2021年5月、米軍とNATO各国軍の撤退が開始されるが、同じ月に、タリバンは南部ヘルマンド州 に大攻勢をかけている。翌月には北部でも攻撃を開始している。

 米軍等の退却が、明らかにタリバンの勢力拡大に影響を与えているのが理解できよう。アフガニスタン政府軍は、寄せ集めで士気も低く統一感がなかったという。一方のタリバンは政府打倒で団結し、 ゲリラ戦術で敵を圧倒した。これが、タリバン快進撃の理由である。

 私は今回の出来事を見ていて、戊辰戦争(1968~1869)の鳥羽伏見の戦いを思い出した。薩摩藩・長州藩を中心とする新政府軍と旧幕府軍との戦である。旧幕府軍の兵力は15000、新政府軍は5000。

 兵力から見たら、旧幕軍が有利であったが、指揮戦略の不備などにより旧幕府軍が苦戦。総大将ともいうべき徳川慶喜が大坂から江戸へ逃れたこともあり、旧幕軍は戦争目的を喪失し、敗北していく。アフガニスタンのガニ大統領も8月15日に、国外脱外している。これも、戊辰戦争とだぶって見える。

 もちろん、ガニ大統領が首都に残ったとしても、ここまで敗色が濃ければ何ができたかという問題もある。ガニ大統領が踏みとどまっていたら、政府軍とタリバンとの銃撃戦が起こり「無血開城」というわけにはいかなかったかもしれない。

 最悪の場合、ガニ大統領は捕縛され、処刑される可能性もあったろう。ガニ大統領の敗走を非難する声もみられたが、ことここに至ったならば、致し方ない気がする。

 それにしても、米軍はまたもや敗れた。ベトナム、イラクでも敗れ、アフガンでも敗れた。米軍は正規軍との戦いには強いが、 地理的に自国から離れた荒涼とした大地や密林での戦闘、そしてゲリラ戦術には弱いことがまたしても証明されたのではないか。もちろん、それはアメリカのみならず、19世紀のアフガン戦争におけるイギリス、冷戦時代にアフガンに侵攻したソ連もそうであるが。

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