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“ヒール役”貫き通した白鵬が引退 いよいよ懸念される本格的な相撲離れ

文=石井洋男(いしい・ひろお)

ヒール役貫き通した白鵬が引退 いよいよ懸念される本格的な相撲離れの画像1
Getty Imagesより

 新横綱の照ノ富士が優勝を決めた翌朝に届いたのは、名横綱引退の報だった。歴代最多となる45回の優勝を飾るも、ここ数年はケガ続きだった白鵬がついに引退を決意した。ヒール役だった白鵬の引退を喜ぶ声も一部であるが、相撲界に待っているのは“お先真っ暗”の未来だ。

 照ノ富士の昇進で1人横綱が解消され、まずは一安心だった相撲界。だが、番付の東西に横綱が並ぶ状態はわずか1場所で終わった。白鵬の休場で圧倒的な優勝候補だった照ノ富士が予想通り優勝し、来場所はモンゴル横綱対決が楽しみだったが、それは夢と終わった。

「今場所の白鵬の休場は、所属部屋のコロナ感染によるもの。それでも引退を決断した大きな理由は東京五輪でしょう。白鵬の父親は、メキシコ五輪でモンゴル初のメダリストとなった国民的英雄で、白鵬の五輪への思いは格別。休場を繰り返して批判されても現役に固執したのは、東京五輪で土俵入りするという夢があったからです。

 しかし、土俵入りの夢は叶わずに東京五輪は終了。『親方になるために日本国籍は取った。後進(照ノ富士)も育った。先場所で全勝優勝して力も見せつけた。もうやることはない』と思っても不思議ではない状況でした」(スポーツジャーナリスト)

 これで長きにわたった白鵬の時代はついに終焉。依然として“モンゴル王朝”は続くが、照ノ富士も不安要素は山積みだ。

「大関から序二段まで転落し、復活して横綱まで上り詰めた照ノ富士は、今のところ“奇跡のヒーロー”のような扱いですが、そもそも大関から転げ落ちたのは、酒の飲み過ぎで体をあちこち壊し、稽古不足が積み重なった結果。心を入れ替えたからこそ、不死鳥のごとく蘇ることができたわけですが、今場所を見ると、両肘も両膝をサポーターでガチガチに固めていて、あれは遠からず批判の対象となるでしょう。

 新横綱で即優勝は見事でしたが、これまで遠回りをしてきた照ノ富士はもう30才で、膝、肩、腕、内蔵など、体中ボロボロ。正直、『それほど長くはできない』というのが関係者の見方で、白鵬のように休場を繰り返すパターンも十分ありえます」(フリー記者)

 せっかく問題児が去ったかと思えば、次の横綱も……ということか。元横綱の北の富士や、好角家として知られるやくみつるなど“アンチ白鵬”は多かったが、批判の対象が引退したことで、その偉大さを痛感することになりそうだ。これまで度々、角界の問題を取り上げてきた週刊誌編集者はいう。

「相撲界は若貴ブームが去って以来、ずっと外国人力士頼み。ところが一部の相撲ファンは、不甲斐ない日本人力士を責めずに外国出身の朝青龍や白鵬を悪役にして、悪口雑言をぶつけることで鬱憤を晴らしてきました。『日本人vs外国人』という構図は分かりやすいので、マスコミ側はそれを煽ってきたのです。

 ただ、ヒールだった白鵬が去って、品行方正な照ノ富士が残り、日本人の横綱候補がまったく見当たらない状況では、相撲を記事として取り上げようがありません。白鵬引退について横審(横綱審議委員会)は『態度が目に余る』と、辞めてなおクレームをつけましたが、興行は注目されてナンボの世界。このままでは相撲がまったく話題にならなくなるのも時間の問題でしょう」(週刊誌編集者)

 人気や話題よりも品位が重要なら、それはそれで1つの見識だが、相撲ファンは本当にそれを望んでいるのだろうか?

石井洋男(いしい・ひろお)

石井洋男(いしい・ひろお)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

最終更新:2021/09/30 08:00

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