日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 『家つい』泣きながら浅草を離れる理由

『家、ついて行ってイイですか?』お祭り好きの独身貴族が泣きながら浅草を離れる理由

不安を隠そうと明るく振る舞う彼女を見守る“菩薩系”彼氏

 2018年4月、深夜の池袋でスタッフが声をかけたのは28歳の女性であった。日向坂46の東村芽依に少し似た彼女、妙にハイテンションなのだ。「家、ついて行ってイイですか?」と尋ねると「だって同居人寝とるもん」と渋るが、電話で確認を取ると“同居人”の返答はOKだった模様。

 というわけで、赤塚にある彼女の家へ向かうことに。ちなみに、女性の職業はアパレル。さっきまで六本木で友人と飲んでいたそうだ。

「お金持ちの人と飲むやつが流行ってるらしくて『そういうのがあるんや』と思って行ったんですけど、私は選考会みたいなやつで『顔がヤク中っぽいからアカン』って、終了~みたいな」

 面白いお姉さんだ。それにしても、“同居人”とはどういう人なのか?

「一応、彼氏ってことになってますけど、別に何もな~い。1年半くらいヤッてないんじゃないですか? 気持ち悪っ、自分(笑)!」

 セックスレスだという彼氏の仕事は、美容院の店長。馴れ初めは、彼女がカットモデルになったこと。それから、向こうからメールが頻繁に来るようになったそうだ。

「『こいつ、めっちゃ下心あるやん』って感じ。『下心ある人イヤ』とか思ってたけど、3回目でそんなことしちゃったんですよね、私も(笑)。アッハッハ、いやらし~!」

 マシンガントークに言葉を挟めないスタッフ。しゃべり倒すお姉さんに圧倒されている。そんなこんなで彼女の自宅に到着。扉を開けると、話題の彼氏がそこにいた。31歳、イケメンだ。でも、振りが振りだけに“3回目でエッチした男”と視聴者に思われてしまうのが不憫である。

 それにしても、彼女と彼氏のテンションの差がすごい。まず、彼女のほう。深夜2時にもかかわらず、ずっと喋ってる。近隣の迷惑にならないか不安になるレベルだ。こんなに話す女性は過去イチである。酔ってるのか? 一方、仕事から帰ってきたばかりという彼氏が静かなのだ。疲れているのか? でも、性格が真逆だからバランスが取れるという考え方もできる。

――普段からこんな関係ですか?
彼氏 「そうですね。僕はあんまり気にしてないですけど」
彼女 「『僕は気にしてない』とか言ってんじゃないよ、アンタ。私はもう、本当にドS。で、(彼氏は)ドM」
彼氏 「別にMじゃないよ」
彼女 「お前、Mだろ。お前、究極のMじゃなかったら私のこと扱えねえだろ」

 ある意味、お似合いだ。しかし、突如ここから重い話へ突入する。押し入れを見ると、彼女の私物の美容系の道具箱がしまってあったのだ。

彼女 「前に私、美容学校に通ってまして、実は。中退なんですけど」
――なんで辞めちゃったんですか?
彼女 「ちょっと病気にかかってしまいまして。パニック障害みたいな、いきなり倒れちゃうみたいな感じの病気」
――え?

 美容師になりたくて美容学校に通っていたが、ある日意識不明になり、翌日に目を覚ましたら母の顔も覚えていない状態だった。毎日記憶は飛び、昔のことは覚えていても美容学校に通っていた時期がまったく思い出せない。加えて病気で手が震え、ハサミが持てなくなってしまった。結果、彼女は泣く泣くアパレルの道に進んだという。

「今は全然大丈夫ですよ。全然、そんな倒れないみたいな。こんな元気みたいな。こんな感じみたいな。アッハハハハ!」

 不安だから饒舌になっていたのかもしれない。何かを抱えた人が無理して明るく振る舞っている、そんなふうに見えなくもない。美容師という職業はハードだそうだ。忙しい日は食事をする暇も、トイレに行くタイミングさえないと聞く。

――お2人が5年間この関係を続けてこられたのは?
彼女 「この人は私がワガママ言ったとしても怒らん。本気で怒らん。結構、心がおおらかな人っていうのはある。あと、仕事の面でも店長に上がって意気込みが人一倍強い。休みの日も毎日、全部仕事に捧げてる方なんで、その面ではすごいなっていう。成功している姿を見ると、『あぁ~、いいな』って余計に尊敬する」
――美容師の魅力ってなんですか?
彼女 「ほら、美容師の魅力言って、言って」
彼氏 「人生変えられるところですかね。僕が変えられたらいいなと思って」
――彼女さんは今、切ってもらってるんですよね。何か変わりました?
彼女 「テンション、アゲアゲになりました(笑)」
彼氏 「よかったね」
彼女 「『よかったね』って、なんでそこでそんなテンション低いの? 人生変えるって言うんだったら、私にもちゃんとそういうふうに接するんじゃないの? 違うの?」
彼氏 「人生変えたいから付き合ってるんじゃないの?」
彼女 「……あま~い!」

 下心うんぬんと聞いていたからグイグイ系の男性かと思っていたら、親のように彼女を見守る懐の深い彼氏だった。

彼氏 「別にありのままで生きていたらいいんじゃない? この子が病気になって(美容師を)諦めて他の仕事をやっていたからこの人の分まで頑張ろうと思ったし、やりたくてもできない人はたくさんいるでしょ。やりたい仕事ができてるだけでも本当幸せって思うから」
 
 菩薩様のようである。聖人。で、やっぱりお似合いだと思うのだ。

――2人、最初仲悪いかと思ったらすごい仲良くないですか?
彼女 「まあまあ仲良いよな? 結構、気合うよな?」
彼氏 「全然合わないんですけど、最終的には受け入れるじゃん。この子がついてきてくれてらいいと思うし、(彼女のことを)周りにも理解してほしいと思うから。(彼女を)理解できるような自分を今作っている段階なんです。たくさん守りたいものがあるから、俺は。結婚もできたら一番いいですけどね」
彼女 「……!」
――なんか彼女さん、嬉しそうですね?
彼氏 「そうだね(笑)」
彼女 「そ、そこ笑う! ねえ、なんでそこで一番テンションハイになるの? なんでそこ笑う!」

 彼女が主役のVTRと思っていたら、このVTRの主役は彼女を見守る彼氏のほうだった。1年半セックスレスと聞いたが、その記録はこの日にストップがかかったはずだ。 

 この取材VTRは3年前のもの。現在、このカップルがどうなったのか“その後”の追加取材映像も見てみたかった。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

記事一覧

サイト:Facebook

てらにしじゃじゅーか

最終更新:2021/11/10 20:00
12
ページ上部へ戻る
トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

『24時間テレビ』強行放送の日テレに反省の色ナシ

「愛は地球を救う」のキャッチフレーズで197...…
写真
イチオシ記事

バナナマン・設楽が語った「売れ方」の話

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶというお笑い界きっての毒舌芸人2人によるトーク番組『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日...…
写真