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『家、ついて行ってイイですか?』結婚生活56年。円満の秘訣は「夫婦の時間差、ハワイと日本!」

円満夫婦から飛び出したパワーワード「夫婦の時間差、ハワイと日本!」

 神奈川県伊勢原市のスーパーでスタッフが声をかけたのは、78歳主婦の女性。ご主人と2人暮らしで、結婚生活は56年にもなるそうだ。

――結婚生活を振り返ってどうですか?
「ハッハッハッハ! 一言では言えません(笑)」

 それはそうだろう。というわけで、スタッフは彼女の家へついて行くことにした。ご自宅は築57年の持ち家で、7DKというすごい間取り。奥さんと79歳のご主人がスタッフを出迎えてくれた。

 こんなに広い家なのに、綺麗に掃除されてあるのは立派。そんな中、目についたのは大きなくまモンのぬいぐるみだった。

奥さん 「くまモン、大好き。ゆるキャラで、いわゆるぬいぐるみって感じだけど、くまモンはもう……くまモンがくまモン(笑)!」
――どういう意味なんでしょうかね……?
ご主人 「知らないよ(笑)」

 夫婦の趣味はほとんど共通していない。妻が愛でるものを、夫はよくわかっていないようだ。

 一方のご主人は、火水木と子どもたちにサッカーを教えるのが趣味だそう。あと、お庭で植物を育てるのも楽しみ。ご主人がしっかりと管理し、成長を見守っている。つまり、お庭はご主人のエリアなのだ。

「私はしない。土いじりって好きでもないし、もう汗かくの嫌(笑)!」(奥さん)

 ご主人がお庭にいる間、奥さんは趣味のジグソーパズルに興じている。今まで500箱を収集し、子どもたちからは「お母さんがあれ広げたら、俺たち晩飯にありつけない」と諦められるほどの熱中っぷりだ。

――旦那様は……?
ご主人 「やらない」
奥さん 「こういう細かいことしない(笑)」
ご主人 「やらないやらないやらない」

 2階に上がると、夫婦別々の寝室を奥さんが案内してくれた。ご主人は夜9時に寝て朝5時に起きる早寝早起きの人。奥さんは新聞配達の人が来るくらいの時間にやっと眠るそうだ。

「夫婦の時間差、ハワイと日本!」(奥さん)

 リタイア前のご主人は鉄道会社の運転士だった。2人の出会いはキャンプ場。ご主人は鉄道会社の仲間たちと、奥さんは女友だちと5人でキャンプに来ており、2人は隣のバンガローに泊まっていた。

――お互いの第一印象って覚えてます?
奥さん 「私のほうが『この人のお嫁さんになりたいな』と思ったんです。だから、意識しちゃってそのときはしゃべれませんでした」

 その後、ご主人のグループが先に帰り、翌日に奥さんたちが帰宅。電車で帰ろうとすると、キャンプ場で会った車掌さんたちが駅で働いていた。

「それで、『何分か後の電車にあいつ(ご主人)が来るよ』って言われて、『私、待ってる!』って言ったの。友だちはみんな帰っちゃったんですけど、駅で1人で車掌の夫が来るのを待ってました。これを逃したらもう会えないと思ったから」(奥さん)

 その後、2人は急接近する。奥さんが仕事後に利用する電車を、ご主人の車両の時間帯に合わせるようになったのだ。ご主人は勤務中だから、会話はできない。でも、2人の中では“無言のデート”だった。

「別にそこに一緒にいればいいじゃない、話はできなくても」(奥さん)

 そして2人は結婚した。しかし、運転士は時間に不規則な仕事。早番があったり遅番があったり、夫婦の生活パターンはなかなか合わなかった。

ご主人 「それがいい理由だったんだけど。自分のペースで生活ができた」
奥さん 「そうだね。どっちかが『俺は1人でやりたいよ』『私はお父さんと一緒に行きたいわよ』って言うと大変だと思うけど、お互いがたまたまマイペースで動くのがいいという人間同士だったから」
ご主人 「それでいいんだよ。邪魔しないんだよな。相手の時間を大事にして。だから、すごく気楽なの」

 ところで、奥さんは夜中まで1人で何をしているのか?

「テレ東の『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』が大好きで、録画して見てます」(奥さん)

 本棚にある地図を広げると、そこには赤い線が引いてあった。太川陽介が実際に辿ったルートを線で引きながら番組を見ているそうだ。これだけ真剣に見てもらえるなんて、太川も本望のはずである。

奥さん 「夜中に1人で3~4時間。信じられないでしょ?」
――やっぱり、旦那さんは3~4時間は一緒にできないですか?
ご主人 「できない、できない」
奥さん 「この人はもうアウトドアだから」

 バス旅を見ながら熱心に解説している奥さん。その横で、ソファの端に座ったご主人は上の空だ。

奥さん 「あれが4号線」
ご主人 「う~ん」

 とは言え、相手の趣味は決して否定しない。

「ないがしろにしてるわけではないですし、『こんなことやらなくたっていいんじゃないの?』ってこともお互い言いませんし、お互いを尊重してるの。(夫は)見事に、私のすることに干渉しません」(奥さん)

 理想的なご夫婦だと思う。理解できなかったとしても、他人を尊重できるのは人間関係において大事。相手を縛らず、干渉しないことこそが夫婦長続きの秘訣だ。

 そんな2人にも、共通の趣味が1つだけあった。旅行である。ご主人が「こことここへ行きたい」と提案すれば、日程表作りは奥さんが買って出る。Excelで作ったスケジュールの内容を見ると、朝から夜まで分刻みなのだ。『路線バスの旅』で鍛えた奥さんのスケジュール感覚と元運転士であるご主人の経験値が、夫婦唯一の共通の趣味に生かされていた。

 無理にペースを合わせようとせず、合わないことを逆に夫婦円満の理由にしているのがいい。お互い無言でいたとしても、きっと2人は居心地がいいはず。正反対の2人なのに夫婦生活が56年も続き、こんなに好き同士でいられるのはすごい。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/11/17 20:00
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