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『家つい』東京で騙され失敗した男が50年ぶりに留萌へ帰郷「みんないなくなっちゃった」

不安定な収入を理由に結婚を許されなかった芸人がコンビを解散

 夜の武蔵小山で番組スタッフが声をかけたのは29歳の男性だった。仕事は週2~3日のカラオケボックスでのアルバイトで、月収は12~13万円とのこと。その稼ぎで生活できるとはとても思えないのだけど。

 なのに、お邪魔したお宅は築49年の2DKマンション。家賃は10万円だそうだ。実は、ここに4人の後輩と男5人で生活しているらしい。いわば、シェアハウスである。残りのメンバーもフリーターで、彼が払う家賃は36,000円のようだ。占有スペースの広さに応じ、額を分割しているとのこと。

 男性が住む1人部屋に入ると、ジャッキー・チェンの絵が飾ってあった。

「ジャッキー・チェン、大好きなんですよ! ジャッキーの『シティハンター』を見たときにどハマりしちゃって。面白いコメディーだったんで、お笑い芸人になりたいと思っちゃったんです、小学生の頃に」

 10年前に沖縄から上京した、売れないお笑い芸人だったようだ。彼の名は、2020年1月まで「知念」というコンビで活動していた明河祥利さん。実は相方の母が脳出血で倒れ、帰郷して介護しながら働くことを決意したと伝えられたばかり。偶然にも、コンビ解散が決まっている時期での取材となったようだ。

「『こういう終わりか……』って思っちゃいました。悔しいけど。なんか、涙溢れてきちゃいましたね。『まだやりたかった』って僕たぶん言ったと思います、泣きながら。しょうがないですけど」

 加えて、また別の件でも彼は人生の岐路に立っている。

「僕はこれから彼女と別れて芸人をやるって決めてたんですよ。一生懸命売れるために」

 ある日、祥利さんは彼女にプロポーズをしてOKをゲット。その後、ご両親に挨拶に行くも「収入が不安定だから」と、こちらでは結婚に許可をもらえなかった。遠回しな「芸人をやめたらいいよ」という回答だ。祥利さんは「3年待ってくれ。待てないんだったらフッてください」と答えたが、彼女からは「待てない」の返事が。祥利さんはフラれた。そして、その2日後に相方から解散を告げられたのだ。

「解散って決まって、いろいろ考えたんですよ。『これを機に彼女と結婚しよう』『働いて彼女を幸せにしよう。これが俺の次の目標だ』って」

 その思いを祥利さんはすでに彼女へ伝えている。「解散が決まった。俺は芸人をやめる。俺への気持ちが変わっていなかったら結婚してくれないか」と。対する彼女の返答は「ちょっと言いづらいんだけど、彼氏ができた」であった。別れて2週間で、彼女には新恋人ができていたらしい。若くてモテる女性は変わり身が早いし、そもそもその期間は別れていたのだから仕方ない。

「『そのほうがいいよ! 幸せになれよ』って(電話を)切ろうとしたら、『芸人を諦めたんなら、祥利を諦める必要がなくなった』って(彼女が)言うんですよ。あれ、ちょっと悩んでるぞと思って、押せと思って、『考え直してくれ。俺はあなたを幸せにしたい。その彼氏じゃなくて俺を取ってくれ』って言いました。そしたら、彼女は『今は答えられない』って」

 そして、さんざん悩んだであろう彼女から、祥利さん宛に長文のLINEが届いた。

「結婚は好きっていう気持ちだけじゃできないと思って別れた」
「もう彼氏がいて、正直その彼氏は結婚相手としては何の不安もない人で、結婚するならこーゆう人なのかもと思って付き合った。けど、付き合ってみて、自分がどれだけ祥利のことが好きか改めて気付いたし」
「本当にりさ(彼女の名前)と祥利はタイミングが合わないね。。笑 祥利につらい思いさせたことは事実だし、りさも祥利の立場になったらそうすると思う。いままで本当にありがとう」

 意味のわからない文章である。フるならちゃんとフッてあげてほしい。男の中に自分を残そうとする、ずるい文だ。

「えっ、これどういう意味ですか? え?」

 芸人としての成功を目指していたとはいえ、世間的にはフリーターである。気の毒だけれど、これが現実ということなのかもしれない。それとも、「芸人を続けなさい」という神からのメッセージだろうか?

 さて、このVTRから1年8カ月後に番組は祥利さんを追加取材した。どうやら、あのシェアハウスからは出たらしい。今、彼が住むのは築1年の1LDKのマンション。家賃はなんと115,000円である。リビングにはウォーターサーバーと高そうな冷蔵庫があるし、よく見ると本人がそこそこ良さげな服を着ている。

 祥利さんはコンビ解散後に芸人を引退。現在は建設会社で正社員として勤務しているようだ。月収は22~23万円。いや、それにしたって収入に対する家賃が高すぎるのだが……。

 奥にある扉を開けると、そこには1人の女性がいた。あのとき別れたはずの女性、りささんである。

祥利 「この人は、嫁です。あの長文LINEを送ってきた女性」
――なんで戻ってきたんですか?
りさ 「ずっと違う人と付き合ってるときも、存在自体が離れがたかったので(笑)。祥利のこと思い出しちゃって泣けてくる。たぶん、どっかで引っかかってて、何かが。『これでいいのか?』みたいな。彼氏と別れてから、『祥利にもう1回会って気持ちを確かめたい』って連絡しました」

 男の中に自分を残したずるいLINEの勝利だ。彼女も結婚を焦っていたし、祥利さんも彼女にベタ惚れだった。2人にとってうまくいったということ? ただ、妥協で短期間付き合ってた元カレの立場よ……。「結婚相手としては何の不安もない」と言っていたのに。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2021/12/08 19:00
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