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『アバランチ』視聴率「最低」記録…“つっこみドラマ”からの脱却間に合わず?

文=東海林かな(しょうじ・かな)

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ドラマ公式サイトより

 綾野剛主演のフジテレビ系月曜ドラマ『アバランチ』がいよいよ今夜、最終回となる。

 綾野と信頼関係の強い若手映画監督・藤井道人とタッグを組んだ地上波ドラマということで放送前から大いに話題になった『アバランチ』だが、蓋を開けてみると期待させていたほどの新鮮味はなく、比較的王道のサスペンスドラマだった。マンネリ気味の展開が続いた前半の後、第2部と銘打たれた第6話ごろからスピード感は増してきたものの、最終回直前となった12月13日の第9話は世帯平均視聴率7.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と最低を記録してしまった。

 しかし、SNS上では「アバランチおもしろい」「どんどん引き込まれていくドラマ。最終回が楽しみ」といった声も聞こえる。当初『アバランチ』の脚本は、各話ごとに担当が変わっていた。このスタイルがうまくいかなかったのか、4話と5話では監督の藤井自ら脚本に参加。そして第2部は初回のみ青島武で、第7話から最終回の第10話までは脚本家・小寺和久が一貫して担当しているので、この策が功を奏したのかもしれない。

 小寺和久はテレビドラマ『新宿セブン』(テレビ東京系)や映画『デイアンドナイト』、今年配信されたNetflixドラマ『全裸監督 シーズン2』などの脚本を担当してきた人物だ。その『デイアンドナイト』や、映画版『新聞記者』、さらに2022年1月13日配信スタートとなるNetflix版『新聞記者』など、藤井監督とは何度もタッグを組んでいる。第2部に入ってからの息をつかせないストーリー展開に「これが『アバランチ』に求めてたもの」と評価する視聴者が少なくないのも、小寺脚本が藤井監督の目指す世界観を体現しているからだろう。

 脚本にまつわる紆余曲折を見る限り、藤井監督にとっても『アバランチ』は試行錯誤のドラマ制作だったのではないだろうか。藤井監督はとあるインタビューで、日本のドラマの課題について「オファーが来て制作が始まるという流れだと自由度が低く、体制やスケジュールなどさまざまな都合次第になる」と述べ、「根本的には、企画と脚本にどれだけ時間をかけているかが大きく違うポイント」と話していた。『アバランチ』もまた、序盤は脚本の練り込みが足らなかったのではないだろうか。

 第2部に入ってからは、張り巡らされた伏線から話の展開を予想する「考察」に視聴者たちが湧くなど盛り上がりを見せていた。しかし、最終回直前の第9話が同ドラマ最低視聴率を記録したことを考えると、第1部で染み付いた「ツッコミ系ドラマ」という印象を拭うことはできなかったようだ。第2部では、「アバランチ」メンバーの身元が割れ、敵である内閣官房副長官・大山に追い詰められていく展開がスリリングだが、かねてから「アバランチのみなさん、もうちょい顔隠したほうがよくないですか?」とツッコんでいた視聴者たちは苦笑いするしかない。ストーリーは緻密とは程遠いものになったが、後は最終回でどれだけのインパクトを残せるのか、注目だ。

■番組情報
月曜ドラマ『アバランチ』
フジテレビ系毎週月曜22時00分~
出演:綾野剛、福士蒼汰、千葉雄大、高橋メアリージュン、田中要次、利重剛、堀田茜、渡部篤郎(特別出演)、木村佳乃 ほか
主題歌:UVERworld(ソニー・ミュージックレーベルズ)
監督:藤井道人、三宅喜重(カンテレ)、山口健人
音楽:堤裕介
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデュース:安藤和久(カンテレ)、岡光寛子(カンテレ)、笠置高弘(トライストーン・ピクチャーズ)、濵弘大(トライストーン・ピクチャーズ)
制作:カンテレ、トライストーン・ピクチャーズ
製作著作:カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/A/

東海林かな(しょうじ・かな)

東海林かな(しょうじ・かな)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

最終更新:2021/12/20 19:00

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