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『ドライブ・マイ・カー』オバマ元大統領も太鼓判、アカデミー賞で『パラサイト』の快挙に続くか

文=菅原史稀(すがわら・しき)
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『ドライブ・マイ・カー』公式サイトより

 濱口竜介監督が手がけ、西島秀俊が主演を務めた映画『ドライブ・マイ・カー』が現在、各国の映画祭を席巻中だ。2014年刊行の村上春樹著『女のいない男たち』に収録された同名の短編作品を原作とするこの作品は、今年7月に開催された第74回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門において、日本映画として初となる脚本賞をはじめ4冠に輝いた。米メディアVarietyはこの『ドライブ・マイ・カー』が、第92回アカデミー賞で非英語作品として史上初めて作品賞を受賞した韓国映画『パラサイト』がカンヌで勝利を収めていた軌跡を辿っていることを指摘し、2022年に行われるアカデミー賞の国際長編映画賞(外国語映画賞)の候補として有力であると伝えている。

 また本作は、ボストン映画批評家協会賞の作品賞、監督賞、男優賞、脚本賞ほか、ニューヨーク批評家協会賞そしてロサンゼルス映画批評家協会賞でも最優秀作品賞を獲得。こうした“アカデミー賞の前哨戦”としても知られる賞における結果は、日本映画としてのみならず、“外国映画”の部門を超えて国際評価を集める現状を物語っている。

 特にボストン映画批評家協会賞は昨年、『ノマドランド』を作品賞に選んだことをはじめ主要6部門中4部門がアカデミー賞と同じ結果になったほか、ロサンゼルス映画批評家協会賞は、2019年に『パラサイト』を作品賞と監督賞に選出していた。そのため、これらの賞レースで評価が高い『ドライブ・マイ・カー』も、アカデミー賞において主要部門にノミネートされる可能性は高いのではないか、と期待が集まっているのだ。

 快挙を遂げる本作は、各所から賛辞が寄せられている。

 大の映画好きであり、その確かな審美眼で知られる前米大統領バラク・オバマ氏がホワイトハウス時代から発表している“年間ベスト”には、毎年世界中の映画ファンから注目が集まるのだが、今年発表されたリストのトップには『ドライブ・マイ・カー』の名が。

 また、『君の名は。』『天気の子』で知られる新海誠監督からも「3時間を長く感じさせない傑作」という声が上がった。

 新海監督の言葉通り、本作は全編179分という上映時間を長く感じさせないだけの“没入感”を観客に与える。その要因には、予定調和の逆を行く「次に何が起こるか分からない」展開や、登場人物たちによるアンビバレントな感情の揺れ動きが緻密に表現されていることが大きいように思う。またこうした“ミステリアスな求心力”を持ちながら、観賞するうちに「ずっとこの車に乗っていたい」と思わせるような“安心感”を与える点も、この映画の不思議な魅力であるだろう。

 濱口監督は、9月公開「an・an web」のインタビュー記事にて、「今回は原作を読みながら掴んだキャラクターの核があります。進めたいドラマはあるので、こういう面が出てほしいという思いもあったりするのですが、行動原理があるから無理やり動かすことはできなくて、キャラクターの話さなさ、動かなさと出合いながら、無理のないように取り組んでいくと、削ぎ落しても3時間はかかってしまいました(笑)」と語っている。わずか50ページ弱の原作がおよそ3時間の長尺に膨れ上がった背景には、一筋縄ではいかない人間らしさ、複雑性と真摯に向き合い、捉えようとする濱口監督の姿勢がうかがえ、それこそが普遍的な価値として国境を超える評価へと通じているのではないだろうか。

 濱口監督による作品は、第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を獲得した最新作『偶然と想像』が12月17日よりBunkamuraル・シネマほかで上映中のほか、柴崎友香による同名小説の映画化でカンヌなどで高い評価を得た『寝ても覚めても』がNetflixで配信されている。(参照:)今後も『ドライブ・マイ・カー』の快進撃が続くと予想されるなか、ぜひ濱口監督の他作品にも注目されたし。

菅原史稀(すがわら・しき)

編集者、ライター。1990年生まれ。webメディア等で執筆。映画、ポップカルチャーを文化人類学的観点から考察する。

最終更新:2021/12/26 10:20

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