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フジお得意の原作“改悪”始まった!? 『ミスなか』安直な恋愛要素の追加がダサすぎる

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ドラマ公式サイトより

 フジテレビお得意の原作改変が、また暴走をはじめているかもしれない。

 今期、フジテレビのイチ推しである月曜ドラマ『ミステリと言う勿(なか)れ』。人気俳優の菅田将暉を主演に迎えたこのミステリー作品は視聴率面で絶好調だ。初回放送の世帯平均視聴率は13.4%(関東地区・ ビデオリサーチ調べ/以下同)を記録し、第2話は12.7%だったが、第3話・第4話と13%台を維持している。

 しかし、2月7日に放送された第5話では不穏な空気が。世帯平均視聴率10.0%と、前話から3ポイント以上ダウン。辛うじて2桁をキープしたが、それ以上に、原作の“改変”が目立ち始めている。特に第5話で問題となったのが、新人女性刑事の風呂光聖子(伊藤沙莉)の存在。もともと原作ではそこまで登場する機会のなかった風呂光だが、ドラマでは出番が増し、さらにここにきて、菅田演じる主人公、久能整(くのう・ととのう)への恋愛感情までほのめかされてきたのだ。

 前回の第4話ラストで、バランスを崩して河川敷を転がり落ち、頭を打った整は念のため検査入院することに。そんな整のもとに、バスジャック事件以来消息不明となっている犬堂我路(永山瑛太)から見舞いの品が届いた。プリザーブドフラワーに紛れて届けられた謎めいた指輪に困惑する整だったが、風呂光は、添えられていた「またいつか会いたいな」というメッセージカードを見て恋人からの贈り物だと勘違い。動揺した風呂光は慌ただしく立ち去ってしまった。

 また、ドラマ後半では、整が見舞いの品について「差出人不明」「誰かのいたずらじゃないですか」と話すが、整が見つけた暗号のメッセージを見て、風呂光は差出人を「久能さんに片思いしている女の子とか……」と推測する。暗号が深夜3時に病院内の温室に来るよう求めるものだと整が導き出すと、気になった風呂光は夜も寝付けず、タクシーを拾って病院へと向かう。整はそこでライカと名乗る謎の女性(門脇麦)に出会うのだが、温室で整が女性と落ち合っているのを目撃した風呂光は、複雑な面持ちでその場を去ってしまうのだった。

 SNS上では「整くんと風呂光さんの関係に恋愛はいらない」「だんだん気持ちが離れてきた。原作からの乖離が……風呂光さん好きだけどソウジャナイ感が」「この脚本本当に嫌になってきたな……元々恋愛要素ない作品に入れてこようとするなよ」「風呂光さんに恋愛要素をぶち込むのは一番やってはいけない改悪」など、安直に恋愛要素を織り交ぜる設定変更に対し、非難の声が多く上がっている。

 さらに風呂光が、整に花が届いていたことを同僚の池本(尾上松也)に話すシーンでは、「え? 誰から?」と訊く池本に「多分、彼女じゃないですか」と冷静に返す風呂光だったが、「あの久能くんに!? ないないないない!」と池本が否定すると、なぜか「でも指輪も入ってましたし、絶対そうですよ」と、整に恋人の存在がいると確信したように話す。ここで池本が「いや、気になるわ~。ちょっと確認してきてよ」と催促すると、「嫌ですよ」と風呂光は断るものの、池本は「なんでよ。本当に彼女なのか、お前だって気になるだろ?」と迫るのだ。

 他人の恋愛事情に探りを入れ、嫌がる相手に自分の一方的な考えをあれこれ押し付けるさまは、もはやセクハラ寸前。『ミスなか』の良さは、人が無意識に縛られている既成概念を整がやさしく解いていく部分であるのにもかかわらず、「男女といえば恋愛」というフジテレビの安っぽい味付けが台無しにしている。視聴者も、「でた。なんでも恋愛につなげるやつ」「むりやり恋愛要素ねじ込んできたり、原作では『恋人』って表現してる部分を『彼女』に変えたり、いろいろ無理」と辟易した様子だ。

 フジテレビといえば、これまでに原作モノの“改変”騒動を数々起こしているテレビ局である。大ヒットし映画化までした『海猿』も、最後は原作者と喧嘩別れに。他にも嵐の相葉雅紀が主演した月9『ようこそ、わが家へ』や、綾瀬はるか主演の映画『本能寺ホテル』も原作者とのトラブルが報じられている。今回の『ミスなか』も同じ道を辿らないか、心配だ。

 たかが恋愛、されど恋愛。ドラマ化にあたってさまざまな変更が起こるのは止むを得ないが、作品の「軸」になる部分を脅かす“改悪”だけはやめてほしいものだ。

■番組情報
月曜ドラマ『ミステリと言う勿れ』
フジテレビ系毎週月曜21時~
出演:菅田将暉、伊藤沙莉、尾上松也、門脇麦、白石麻衣、鈴木浩介、筒井道隆、遠藤憲一 ほか
音楽:Ken Arai
脚本:相沢友子
プロデュース:草ヶ谷大輔、熊谷理恵(大映テレビ)
演出:松山博昭、品田俊介、相沢秀幸
主題歌:King Gnu 「カメレオン」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作・著作:フジテレビ 第一制作部
公式サイト:fujitv.co.jp/mystery

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2022/02/14 12:00
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