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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.676

実在のセクハラ事件が題材の社会派ミステリー 被害者が追い詰められる『ある職場』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

ハラスメント発覚後も同じ組織で働くことの難しさ

実在のセクハラ事件が題材の社会派ミステリー  被害者が追い詰められる『ある職場』の画像2=
SNSが炎上し、早紀は旅行中もスマホから目が離せない状態が続いていた

 本作を撮った舩橋淳監督は、ドキュメンタリー映画『フタバから遠く離れて』(12)、『フタバから遠く離れて 第二部』(14)で知られるほか、オダギリジョー主演作『ビッグ・リバー』(05)や柄本佑主演作『ポルトの恋人たち 時の記憶』(18)といった海外ロケを敢行した劇映画も手掛けてきた。

 実在のセクハラ事件を題材にした『ある職場』は脚本を用意せず、シノプシス(あらすじ)だけ決め、小旅行に参加する12人のキャストたちはそれぞれ自分で考えたセリフを交わしながら、アドリブ的に演じている。長回しの撮影が2時間続いたこともあるそうだ。ドキュメンタリーさながらの緊迫感と、フィクションドラマならではの設定の面白さが巧みにブレンドされている。

 早紀は職場で上司からセクハラに遭っただけでなく、SNS上で知らない人たちからの中傷にさらされている。また、セクハラ事件が世間に広まったために、ホテルの信用はガタ落ちとなり、経営が傾くという大問題に発展していた。トラブルを招いてしまった早紀は自責の念を感じるが、同時にSNSに情報を拡散した「真犯人」への憎悪も燃やすことになる。早紀のことを心配する木下のような先輩もいれば、社内だけでなく家庭内での立場も失った加害者のことを気遣う男性社員もいる。映画の後半からは、セクハラ問題の事後処理に動く女性上司が加わる。

 湘南の美しい風景とは対照的に、保養所の一室ではハラスメント被害者とその関係者たちのドロドロした本音が飛び交うことになる。本作を企画し、撮影から編集まですべて手掛けた舩橋監督に、制作の舞台裏について語ってもらった。

舩橋「ニューヨークに10年間住み、『ビッグ・リバー』を撮った後、日本に戻りました。久しぶりに帰国すると、日本の男性中心社会に違和感を覚えたんです。東日本大震災後の避難生活を追った『フタバから遠く離れて』などを撮っていたので、すぐにはジェンダー問題を扱えなかったのですが、あるときホテルチェーンで起きたセクハラ事件を取材する機会がありました。被害者、加害者、関係者に直接話を聞くことができたのでドキュメンタリーにすることを考えたのですが、名前も顔も出すことができないということで、事件後の後日談としてフィクションドラマにすることにしたんです。取材した際に強く感じたのは、被害者は心の痛みがその後も続き、事件後も組織の中で生きていくことのつらさでした。取材した際に印象に残った言葉の端々は、劇中に活かしています」

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