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SixTONESがモデル、曲はメイクとファッション。「共鳴」の“眉毛とアイライン”、“部屋着”を解説!

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SixTONES「共鳴」通常盤

「現在、アーティストが手にするのは業界が生む利益の12%のみ。今こそ抑圧的なシステムから音楽を解放する時だ」。これは2月にアルバム『Donda 2』を独自プラットフォーム「Stem Player」でリリースしたYe(カニエ・ウエスト)がInstagramに投稿した内容である。

 前回SixTONESの2ndアルバム『CITY』について「サブスクリプション時代におけるCD限定リリースは秘境で、盤に刻まれた音楽を葬ったアイドル自身による価値の復興ではないか」と書いた。趣旨は異なるものの、カニエがストリーミングサービスを忌避し、自らプラットフォームを作って作品を発表したことと、SixTONESを含むジャニーズをはじめとするサブスク未解禁勢の動向は、結果的に「秘境を生み出すことで、音楽の価値を上げている」という点で等しい。

 そして先日3月2日、SixTONESのニューシングル「共鳴」が発売された。今回はどんな音が閉じ込められているのか期待しつつ、再び彼らの秘境に足を踏み入れてみたい。なお、ここで言及するのは通常盤の収録曲である。

「共鳴」のお洒落感、メロディもメイクも線を引く?

 まずは「疾走感溢れるロック+ジャズ+HIP HOPを融合した力強いサウンドに乗せた、新時代的・絆ソング」と銘打ったタイトル曲「共鳴」。作詞・作編曲は過去にも楽曲を提供してきた佐伯youthKによるもので、楽曲の持つメロディや「魁」や「然様なら」などの言語センスから椎名林檎の影響を感じさせる。その予感を決定的にするのは、サビの最後<今を生き抜くだけ>における結び<け>の部分だ。

 音楽理論的にいうと「マイナー9th」。緊張感を伴う「テンション」と呼ばれるテクニックの一種だが、この音で終止する旋律を椎名は多く書いてきた。いくつか例を挙げると「真夜中は純潔」のサビ、「遭難」のサビ、「修羅場」のAメロ、「能動的3分間」のAメロ、「長く短い祭」のAメロなど。

「林檎マーク」ともいえるこの和音(コード)を用いるとメロディがお洒落で艶っぽくジャジーに響く。なぜ洒落て聴こえるかは説明が難しくなるので省くが、「共鳴」のジャズ的な部分はこの点に強く出るといえよう。これによって疾走感あふれるロックサウンド、ヒップホップの要素であるラップ、ジャズのお洒落感が重なり“共鳴”する。

 音楽において音の塊である和音に対し、単音であるメロディとベースはしばしば「~ライン」と表現される。歌詞については「パンチライン」という言葉を思い出してほしい。そしてメロディと歌詞を編んだ糸は「トップライン」と呼ばれる。

 現代のポップスをファッションに例えるとわかりやすい。歌手がモデル、アレンジを含めたビートは服、トップラインは名称からして顔となるだろうか。美容系YouTuberが言うように、アイラインや眉毛、リップラインなどメイクの「線」の引き方や組み合わせによって顔の印象は大きく変わるが、それは音楽も同様なのである。この観点で考えると「共鳴」のMVにおけるSixTONESのスタイリングは楽曲のイメージそのものだ。

 一方で、カップリング曲「FASHION」は、題名と裏腹にシンプルなビートと旋律線で構成されている。タイトルとの一貫性を求めれば楽曲の音像に矛盾を感じるかもしれないが、注目すべきはTSUGUMIによって紡がれた歌詞。この自己の解放を呼びかける世界観は飾り気の少ない楽曲だからこそ成立するものである。

 もしこれがバチバチのお洒落ソングだったら、または先ほどの「マイナー9th」のようなテンションが乗っていたら、モードな人にハイファッションを押し付けられているように感じたかもしれない。いわゆるアイドルらしいポップさは彼らの普段着のようでもあり、飾りすぎないスタイルで呼び掛けられているからこそ、聴く側もそれに応答できるはずだ。その点で「FASHION」もビート、旋律線と歌詞で撚(よ)ったトップラインが補完し合う形で“共鳴”している。なお、MVにおけるメンバーの衣装は少々お洒落上級者風すぎるが、それも楽曲のバランス感が中和している印象を持った。

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