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『SING/シング:ネクストステージ』“アニメ映画戦国時代”に、豪華スターの共演というオリジナリティを導き出した!

『SING/シング:ネクストステージ』は、英語音声でこそ意味がある!

『SING/シング:ネクストステージ』アニメ映画戦国時代に、豪華スターの共演というオリジナリティを導き出した!の画像3
(C)2021Universal Studios. All Rights Reserved.

 最初に断っておきたいのは、筆者は何もかも英語音声で観るべきだと主張するような、極端な字幕過激支持派ではない。むしろ海外アニメは吹き替えで観ることが多い。ところが時として、吹き替えで観てはならない作品も存在する。

 それは、俳優やアーティストの特性を活かして“当て書き”されている作品。つまり、作り手がそう観てもらいたいと望んでいる作品だ。

 例えば『カンフー・パンダ』(08)という作品がある。これは、俳優ジャック・ブラックの特徴をメタ的に取り込み、彼の独特の言い回しもキャラクターのセリフにそのまま反映させている。言ってしまえば、主人公のパンダ・ポーは、ジャック・ブラックでなければ成り立たないキャラクターなのだ。

「SING/シング」シリーズの場合も、全く同じことが言える。多くの豪華アーティストの歌声を届ける作品だからなおさらである。しかし一方で、子ども向けが大前提とあって、各国の言語に変換されてしまうことは避けられない。さらに今作は、既存の楽曲を使用しているがゆえの弊害が生じている。既存曲を使うということは、そもそも英語で発音することを前提として構築された曲を、翻訳で崩すことになってしまうからだ。

 なぜディズニーが既存の曲ではなく、オリジナル曲を使うかというと、吹き替えで変換されることを前提としたオリジナル曲を使うことで、各国の言語に翻訳したときの差異や違和感をなくしているのだ。

 そんなディズニーにも、『ミラベルと魔法だらけの家』(21)のように、オリジナル楽曲でも、ラテンビートに日本語が適しておらず、英語版やスペイン語版と比べて観た場合、全く別の作品に感じてしまうものもある。

 それほど、歌を吹き替えるということには、作品本来の趣旨から外れてしまうかもしれない、作品が変わってしまうかもしれないといった、大きなリスクが伴うのだ。

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(C)2021Universal Studios. All Rights Reserved.

『SING/シング:ネクストステージ』の物語は、王道中の王道である。友情、愛、夢、あきらめない心……といった、子どもに学ばせたい要素が詰まったものとなっているだけに、逆に言えば、万人受けする間違いない作品でもある。

 ここで今作のコンセプトを改めて理解してもらいたい。姿は動物のアニメかもしれないが、映画の中で展開されているのは、普段は交わることのない、豪華アーティスト・俳優同士のデュエット、そしてカバーなのだ。

 前作から引き続き監督を務めるガース・ジェニングスは、レディオヘッドやファットボーイ・スリムといったアーティストのミュージック・ビデオを多数手がけてきただけのことはあり、それが動物であっても見せ場を理解している。劇中で展開されるのは、プロのパフォーマンスそのもの。

 1作目でもトリー・ケリーやリース・ウィザースプーン、タロン・エガートンといった、歌手やミュージカル経験のある俳優が既存の曲を歌い上げていた。その豪華なステージは、それだけでも価値があることだ。ちなみに、タロン・エガートンがエルトン・ジョンの「I’M STILL STANDING」を歌うシーンがあったが、その後、エルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』で同じ曲を歌うという奇跡のシンクロも起こっている。

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(C)2021Universal Studios. All Rights Reserved.

 そして、今作から新たに「SING/シング」シリーズに参加するホールジーが、アリシア・キーズの「GIRL ON FIRE」や、ザ・ストラッツの「COULD HAVE BEEN ME」を熱唱したり、ボノとスカーレット・ヨハンソンがU2の「I STEEL HAVEN’T FOUND WHAT I’M LOOKING FOR」をデュエットしたりもしている。さらに、U2が今作のために、新曲「YOUR SONG SAVED MY LIFE」を書き下ろしたという豪華さだ。

 ぜひ、豪華スターたちのステージを、オリジナルのまま英語音声で楽しんでもらいたい!!

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『SING/シング:ネクストステージ』
2022年3月18日(金)全国ロードショー!

■監督・脚本:ガース・ジェニングス
■製作:クリス・メレダンドリ、ジャネット・ヒーリー
■キャスト:マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、スカーレット・ヨハンソン、タロン・エガートン、トリー・ケリー、ニック・クロールほか
■新キャスト:ボビー・カナヴェイル、ホールジー、ファレル・ウィリアムス、ニック・オファーマン、レティーシャ・ライト、エリック・アンドレ、チェルシー・ペレッティ、ボノ(U2)、ほか

■公式HP:http://sing-movie.jp
■公式twitter: @SingMovieJP
■公式Facebook:@sing.movie.jp
■YouTube:https://www.youtube.com/c/IlluminationJP

バフィー吉川(映画ライター・インド映画研究家)

毎週10本以上の新作映画を鑑賞する映画評論家・映画ライター。映画サイト「Buffys Movie & Money!」を運営するほか、ウェブメディアで映画コラム執筆中。NHK『ABUソングフェスティバル』選曲・VTR監修。著書に『発掘!未公開映画研究所』(つむぎ書房/2021年)。

Twitter:@MovieBuffys

Buffys Movie & Money!

ばふぃーよしかわ

最終更新:2022/03/18 18:00
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